トランプ米政権が各国にかけた「相互関税」を巡り、米連邦最高裁が違法とする判決を出した。
トランプ米大統領は昨年1月の第2次政権発足以来、いくつもの関税政策を打ち出してきた。中でも広範囲に影響を及ぼしたのが相互関税だ。日本を含む69の国・地域に対して10~41%の関税を課した。
法的根拠となったのが国際緊急経済権限法(IEEPA)だ。米国が重大な危機にさらされた場合、大統領に「輸入の規制」の権限を与える。
裁判は同法に関税が含まれるかどうかが争点に。政権側は関税を課す権限も含まれると主張した。
だが判決は、IEEPAに関税への言及はなく「大統領が関税を発動する権限を認めていない」とした。関税を課す権限は本来、連邦議会にあるとし、「議会がその権限を大統領に委任する場合には明確で慎重な制約を伴うが、そのいずれもなされていない」と断じた。
判決は判事9人のうち6人の多数意見で、トランプ氏が指名した2人も含まれる。
関税についてトランプ氏は貿易赤字の解消や製造業の復興が目的とした。
しかし、実際にはアメリカに有利な取引を迫るための「武器」として乱用されてきた経緯がある。
そうした政権の「暴走」に司法がブレーキをかけた形だ。極めて常識的な判断と言える。
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ただ、訴訟の対象は相互関税と、合成麻薬「フェンタニル」の流入を理由にカナダ、メキシコ、中国に課した分などIEEPAを根拠とした関税に限る。
判決でこれらの徴収は終了する。
驚くのは、判決を受けトランプ氏が代替策として即座に通商法122条による全世界への10%の追加関税を24日発動する布告に署名したことだ。
日本は15%の相互関税の適用がなくなるものの、新たに10%の追加関税が課せられる。
そもそも自動車や牛肉など分野別の関税は別の法律が根拠となっており、今回の判決の対象外だ。
トランプ関税による混乱は世界中のビジネスに影響を及ぼしている。
通商法の効果は150日間で切れる。このまま関税をもてあそぶような対応が繰り返されれば、貿易に予見不能な変化をもたらす恐れがある。
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今回の訴訟は米国の中小企業などが提起した。他にも日本企業を含めて多数の企業が関税の返還を求める訴訟も起こしている。
日本政府は関税を低く抑えてもらう代わりに5500億ドル(約85兆円)の対米投資にも合意した。高市早苗政権は先日、その第1弾となる投資先を決めた。
だが、そもそもの前提が崩れている。
従順に振る舞うことで特別扱いを求めるのではなく、自由貿易のルールを守る立場を表明すべきだ。

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