【屋良朝彦通信員】日本とフィリピンは今年国交正常化70周年を迎える。そのフィリピンで国際協力機構(JICA)はこれまで多くの援助を行ってきた。
なかでも読谷村出身の比嘉航也さん(31)が携わるミンダナオ島「バンサモロ自治政府能力向上プロジェクト」はユニークだ。
 比嘉さんらはパンサモロ暫定政府の職員を対象に、研修機関の設置、農業振興・中小企業振興などを行っている。農業振興で取り入れているのは、市場流通性の高い作物を農家自身の意思決定で作ることを後押しする「市場志向型農業振興プログラム(SHEPアプローチ)」である。これは既にアジア・アフリカの農村で既に一定の成果を上げている。
 しかし、ミンダナオ地域の支援には、もう一つ大切な意義がある。それは、イスラム武装勢力とフィリピン政府との和平合意で2019年に設置されたバンサモロ自治地域の行政機能を向上させることだ。
 同地域では農業指導をJICAの研修を受けた行政職員が実施している。行政職員が農家の生計向上に共に取り組むことは、自治政府の信頼を高め、ひいては地域の安定に寄与する。
 「地域平和の定着」。これがJICAに託されたもう一つの国際協力の形だ。
 同地域では、もうすぐ自治政府の議員選挙が実施される。比嘉さんらの「政府職員の能力向上プロジェクト」は、この新しい政府が市民から信頼を得ることを目指す。
JICAの薫陶を受けた政府職員の奮闘で、小規模農家の生活が少しでも豊かになれば、平和な社会継続の一助となろう。
 筆者が取材した際には、広島県の平和推進プロジェクトチームのプログラムで訪比中の高校生に、比嘉さんらは「なぜJICAがこのバンサモロ自治地域支援に携わっているのか」をクイズを交え説明していた。
 深い友好関係にあるフィリピン共和国の、国内平和をソフトパワーで守り、市民生活の向上を支援している比嘉さんの姿に同じ沖縄県民として誇りを感じた。
(写図説明)広島県から訪れた高校生らに「JICAが担う平和構築支援」のプレゼンテーションを行う比嘉航也さん(奥)=1月7日、フィリピン
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