ロシアによるウクライナ侵攻から4年となった。戦闘は終息どころか、消耗の度合いを増している。

 両軍の戦死者は計30万人以上と推計される。ウクライナでの民間人の死者は1万5千人、負傷者は4万人を超え、深刻だ。
 侵攻開始からの日数は、かつてウクライナが主戦場となった独ソ戦の1418日を上回った。
 この戦争は、第2次大戦後の国際秩序を揺るがし続けている。
 ロシア軍はウクライナ全土の約2割を占領し、東部ドンバス地域を中心に戦闘のやむ気配がない。
 首都キーウを含む各地でドローンやミサイルによる攻撃が繰り返され、特にエネルギー施設への集中攻撃が市民生活を直撃する。
 厳冬下での停電や暖房不足は、高齢者や子どもなど社会的弱者を追い詰める。長期化によって「静かな犠牲」が膨らんでいる。
 戦争が終わらない最大の要因は、和平の前提条件を巡る溝の深さにある。
 ジュネーブで断続的に開かれる三者協議は難航し、東部ドネツク、ルハンスク両州の扱いが最大の障壁となっている。ロシアはウクライナ軍の全面撤退と領土割譲を停戦条件に掲げる。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は「独立と主権を損なう妥協はできない」と明言し、現在の前線で戦闘を停止し、領土交渉に入るよう求めている。

 米主導で、侵略を受けた側にさらなる譲歩を迫る構図が、解決を遠ざけ、厳しい緊張につながっている。
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 ウクライナの求める「安全の保証」も膠着(こうちゃく)状態だ。
 ロシアを信用できない背景には1994年のブダペスト覚書や、2014年以降の紛争を巡るミンスク合意が事実上ほごにされてきた経緯がある。クリミア併合を経て、再侵攻に至った歴史は「停戦後の安全」を容易に受け入れさせない。
 停戦が実現すれば、停戦監視に無人機を用いる米国提示の仕組みで大枠合意するが、真の安全保障を担保できるかは未知数だ。
 トランプ大統領は中間選挙をにらみ、「ロシアの要求をウクライナにのませる」姿勢を強める。軍事援助を大幅に縮小し、欧州に穴埋めを迫っている。
 拠出額を増やした欧州連合(EU)では、負担増への不満が将来の結束を揺るがす懸念は拭えない。
 各国の支援疲れが広がれば、ロシアに有利な方向へ流れかねない。
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 4年は長い。しかし、歳月そのものが妥協を正当化する理由にはならない。国際社会は、侵略による現状変更を許さない強固な決意を持ち続ける必要がある。

 そして、ウクライナ市民の生命を守る具体策を優先してほしい。今も寒さやストレスに耐える人々への支援に知恵を絞りたい。
 終戦への道筋を描く外交努力も欠かせない。「全面勝利か敗北か」の二者択一ではなく、停戦監視、段階的制裁緩和、復興支援を組み合わせた包括的枠組みを構想しなければならない。
 国際社会の規範と覚悟を示す時だ。
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