人類が言葉を生み出した動機って何だろう。狩猟採集を行う中で協力する必要があったから、という説を目にするけれど、それはきっと発展した背景であって、起源じゃない気がする。

 もっと、親密で小さな場所。例えば恋人たち。「好き!」があふれて出た音を「好き」と決めて、いろんな好きの音を作って、お互いの呼び名を決めて、好きなもの、嫌いなものに名前をつけて、生まれた子どもにも名前をつけて。そんな恋人たちの娯楽が起源だったらいいのにな。
 日本の小さな町の片隅で、ろう者とクルド人のグループが、手話とクルド語という、全く伝わらない言語で大げんかを繰り広げる滑稽でハートフルな映画を見ながら、そんなことを考えました。「伝えたい」ために必死になれば、絶対伝わる。そして、言葉は後からついてくる。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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