超党派の国民会議が始動したとはいうものの、野党の参加はチームみらいだけ。社会保障と銘打つが、医療や介護を巡る制度改革議論は聞こえてこない。
「看板に偽りあり」ではないか。
 高市早苗首相肝いりの「社会保障国民会議」の初会合が官邸で開かれた。
 2年限定の食品消費税率ゼロや給付付き税額控除などについて話し合う。夏までに中間取りまとめを行い、秋の臨時国会に法案を提出したい考えだ。
 「与野党の垣根を越え、有識者の英知も集めて議論を行う」。初会合で首相はこうあいさつした。
 超党派で合意形成を図ることは大切だが、この日、テーブルに着いたのは政府・与党とみらい。
 中道改革連合と国民民主党は、発言のぶれが目立つ首相への不信感を募らせ、参加を見送った。
 首相は消費税減税を、中低所得者を支援する給付付き税額控除実施までのつなぎと位置付ける。一方で財源確保や実施時期、2年後に増税となることへの懸念に正面から答えていない。
 国民の玉木雄一郎代表は代表質問で詳細な答弁を迫ったが、首相は国民会議で今後議論するとの理由から言及を避けた。
 具体策もないまま、スムーズに進まない場合、野党のせいにする「責任転嫁」とも受け取れる発言だった。

 加えて中道、国民、みらい以外の野党には参加を呼びかけておらず、排除した形である。
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 消費税減税で首相の発言はぶれている。
 首相は、昨年5月の自民党会合で「食料品の消費税率は0%にすべき」と主張。だが9月の総裁選出馬表明時には「物価高対策としての即効性はない」と軌道修正。11月には「レジシステムの改修などに時間がかかる」と慎重姿勢を見せた。
 ところが衆院解散表明後は唐突に前向きに転じ、自民公約に「検討加速」と書き込んだ。
 昨夏、衆参両院で少数与党となった石破茂首相の下、自民、公明、立憲民主の3党が給付付き税額控除を議論する協議体を設置したのが国民会議の始まりだ。
 当時は消費税減税をテーマにすることは想定していなかった。
 国民会議と言うからには、全ての党に呼びかけ、少数意見にも耳を傾けなければならない。それができないのなら、開かれた国会の場で議論すべきだ。
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 食品税率をゼロにすれば年間で約5兆円の減収となる。代替財源が確保できなければ社会保障に大きな穴があく。

 国民会議に丸投げするのではなく、高市首相には目指す政策に必要な財源など議論の「たたき台」を示してもらいたい。
 本来、国民会議は社会保障と税の一体改革を与野党で話し合う場のはずだった。
 減税が医療や介護、年金、子育て支援など大切な社会基盤を危うくするようでは禍根を残す。
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