舞台上に勢ぞろいした「第1回新春こーはく芸能合戦」の出演者=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 沖縄で活躍する民謡の音楽家が集まった「第1回新春こーはく芸能合戦」が、旧正月を前にした2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館で開催された。若手を中心に16組が出演。
自由で楽しい芸能の数々は、会場を拍手や笑いで包んだ。新春関係の民謡イベントが無くなっていく中で、民謡を盛り上げようと企画されたこのイベントは、80枚のチケットが販売開始3時間で完売するほど注目度が高く、早くも来年開催を予定している。審査委員長を務めた喜納昌吉氏は「沖縄の本当の魂を引き継いでいるなとたくさん感じられた。感動しました」と評していた。
■多様な民謡カルチャーの今

太鼓やボンゴ、シンセサイザーの音色と共に『新家庭小』を歌い上げた具志有利咲=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 審査委員長はミュージシャンの喜納昌吉、紅組応援団長は沖縄芝居の松玉枝、白組応援団長はYouTuberの沖縄サムライMGがそれぞれ務めた。
 紅組1組目は、グレートシーサーの『新御祝節ARON BEATZ (feat. 仲地美音)』。民謡とHIPHOPを融合させた“沖縄だから生まれた音楽”で宴が始まった。1組目から新しい民謡の在り方をまとったミュージシャンが登場したことで、このイベントの柔軟さや懐の深さを感じ取ることができる。一方で大山優次の『福々』、又吉直子の『毛遊び千鳥』といった正統派の沖縄民謡も数多く登場。三線の音色を響かせた。
 小学6年生、最年少出場者の上田大幹は、ギターを片手にBEGINの『三線の花』を熱演。客席からは上田を勇気付けるかのように手拍子が巻き起こり、後進を支えようとする温かい空気が場を包んだ。


ギターを片手にBEGINの『三線の花』を熱演した上田大幹=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 紅白にチームが分かれてはいるものの、NHK紅白歌合戦のように男女で分かれている訳ではない。ものまね芸人・仲村哲也は、審査委員長の喜納昌吉を前に、本人のものまねで『花』を熱唱。会場が笑いに包まれる中、真剣な表情で真摯に見入る喜納の姿が印象的だった。

喜納昌吉本人を前に圧巻のパフォーマンスを披露する仲村哲也=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 このように、正統派の唄三線から新たな形の民謡、さらには寸劇まで幅広く登場し、総勢16組という演者の充実さでありながら、新鮮な気持ちで舞台を楽しむことができる。民謡の中には、唄三線に太鼓を合わせた曲もあれば、電子楽器を合わせた曲もあり、文化背景に支えられた沖縄民謡の奥深さを物語っていた。

『かぬしゃまよー』で会場の空気を引き込んだ国吉ファミリー=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 前半後半計2回、客席からの色分け投票で決められた芸能合戦の結果は、90対78で白組の勝利。審査員特別賞には、白組のトリとして『宮古根ハンタ原』を演奏した中村龍人、伊佐元輝、安慶名優和の3人が選ばれた。スパンコールの衣装に身を包んだ喜納審査委員長は「(1970-80年代の)喜納昌永や嘉手苅林昌などの時代の民謡を思い出すというのは非常に大きい。沖縄の伝統を引き継いでいるのは彼らだと思う。非常に熱さを感じる。ありがとう」と激励した。

審査員特別賞に選ばれた(左から)安慶名優和、伊佐元輝、中村龍人。
太鼓は玉城さゆり=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 【出演者】グレートシーサー、前川哲男、大山優次、又吉直子、ちんちなー、東シスターズ、平良優紀、国吉ファミリー、安慶名優和、中村龍人、伊佐元輝、池原輝飛、仲村哲也、濱崎瑞姫、玉城さゆり、上田大幹、具志有利咲
■ウチナー民謡は「いわばポップス」
 「第1回新春こーはく芸能合戦」の開催には、沖縄の民謡文化の再燃という大きなテーマがあった。実行委員長の川門正彦さんに聞く。

「音楽や芸能は、人間に寄り添うものなんですよ」と語る、実行委員長の川門正彦さん=2月15日、那覇市若狭の民謡酒場芸能館

 -今回、第一回として本イベントを開催しようとしたのはどのような背景がありましたか?
 沖縄の文化の流れが、全部ヤマト(本土)に向いていると感じています。たしかに現代の音楽もすごく大事なのですが、譲ってはいけない魂があります。沖縄の音楽には、たとえ言葉が分からなくても「面白いね」「悲しいね」と感じさせるような、本当の音楽の力が残っていると思います。それを呼び起こしたくて、今回の開催に至りました。
 ―今回のイベントでは、三線以外にもギターなどいろいろな楽器が入った沖縄民謡が多く演奏されているのが印象的でした。
 これこそがウチナー民謡なんですよ。ウチナーンチュが生きている過程で生まれた、いわばポップスなんです。沖縄民謡には新しい歌もどんどん増えてきています。暮らしや時代の中で、どんどん変わって新しくなっていくというのが民謡です。文化や伝統を伝えるためにこそ、変化が必要と個人的には考えています。
大事なのは、その中にどんな魂を残していけるかです。
 -音楽以外にも寸劇があったりと、パラエティ豊かな演目でした。
 沖縄の芸能は、歌だったり、ゆんたくだったりと多彩です。それらを見てくれたお客さんが、生活の中で共感してくれる部分がどこかにあると思います。音楽や芸能は、人間に寄り添うものなんですよ。
 -第一回目が終わりました。今後の展開はどうお考えですか?
 今回見てくれた方々はきっと「来年はさらに良いものを見せてくれるだろう」という期待感を持って帰って頂けたかと思います。本当にありがたいです。来年も新しい形での「新春こーはく芸能合戦」を計画していますので、そこでまた皆さんとお会いできればと思います。
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