2014年に日本集中治療医学会などが作った延命治療の終了に関する指針の改定案。
医療の進歩により、かつては救うことが難しかった命が救われるようになった。一方で回復が見込めない患者に「どこまで治療するのか」の線引きはますます複雑になっている。
改定の背景には、患者側から治療終了の求めがあっても、法的責任などへの懸念により医療者側の判断が難しいことがある。
厚生労働省は07年、終末期医療を決めるための手続きをまとめた指針を公表した。積極的安楽死は対象外としつつ、患者本人による決定を基本とする延命治療の終了は否定していない。
ただ、14年の旧指針では「適切な治療を尽くしても救命の見込みがないと判断される時期」と終末期を定義。該当する患者を限定したことなどで、医療現場にはあまり浸透しなかった。
これに対し改定案では、治療のどこからが延命に当たるのかを区切るのは困難として、終末期の定義を明記しなかった。
その上で、人工呼吸器などを使った延命治療を始めない、もしくは終了する判断は、患者本人の意思の尊重を原則とし、患者や家族、医療者が「共同決定」するとしたのである。
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改定案のもう一つの柱が早期からの緩和ケアだ。
救急・集中治療を受ける患者は苦痛も大きいケースが多いとし、適切なケアを提供できない状態では治療を終了すべきでないとも指摘した。
期間を決めて積極的な治療を試みる手法「タイム・リミテッド・トライアル」も新たに明記された。
たとえ患者が事前に延命拒否の意思表示をしていても、急変した場合、治療の継続か終了かで家族と医療者の意見が異なるケースはままある。
そうした時に家族の同意を得て人工呼吸器を数日間使用するなど特定の治療をし、患者に苦痛が出ないか、状況が改善するか悪化するかを確認する手法だ。
判断の誤りを防ぐだけでなく、家族が気持ちを整理する時間ができるという点でも意味がある。十分な医療情報を持っていない家族に対しては、医療側からの丁寧な説明が重要になる。
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人工呼吸器などの治療の終了を巡っては、医師が訴追される事件が繰り返されている。問題の根底にあるのは「独断」だ。
尊厳ある延命終了は、治療による負荷や経過の予測を患者や家族が正しく理解することが前提となる。
改定されても各地の医療現場でその趣旨が反映されなければ意味がない。
患者と家族の望みをかなえるためには、医師だけでなく、看護師やソーシャルワーカーなど多職種の連携が必要だ。定着へ、病院が一体となって取り組むことが求められる。

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