観光のその先へ 地元ホストと向かう秘境
 「LOCOLINK(以下、ロコリンク)」(https://locolink.jp/)は、旅人と地元ホストをつなぐおもてなしアプリ。個人でアクセスするには難しい体験やローカルの文化を、現地ホストと一緒に楽しむことができる。
ただ「観光する」だけではなく、暮らしを「体験する・交流する」旅へと導いてくれるサービスとして、注目を集めている。

 

 そんなロコリンクの中で特に人気を集めているのが、地元ホスト・大城仙一郎さんが提供する “秘境の滝でのおもてなし”だ。大城さんは普段、観葉植物屋を営んでいて、植物の生態にも詳しい。2026年2月22日(日)、東京からやってきた旅行客がロコリンクを使って “秘境の滝でのおもてなし”に参加した。
 この日は朝8時にパン屋さんに集合し、ブランチ用のパンを各自購入。トイレなどを済ませて、いざ出発。目的地は、ガイドブックには載っていない沖縄県内某所の滝。周辺には拝所があり、古くから地域の祈りの場として大切にされてきた場所だ。そのため、地元の人以外が立ち入ることはほとんどなく、具体的な場所の拡散も行わないよう、参加者には事前に注意喚起がなされている。観光資源である前に、信仰と暮らしの場である。その前提を共有することから、このおもてなし体験は始まる。

ホストの大城さんを先頭に森の中を歩いていく。


 一般の観光ルートから外れた山里を抜け、緑濃い森の奥へ。「ここは観光地じゃなくて、地域の大切な場所」森へ入る前にそう語る大城さんの言葉には、自然を扱う仕事に携わる者としての責任感がにじむ。参加者へ、写真や位置情報をむやみに公開しないことなどを伝える。
 道中では、観葉植物屋を営む大城さんならではの会話が繰り広げられる。足を止めては「この植物、ホームセンターで販売するといくら位になると思いますか?」とクイズを出し、沖縄の植物や生き物、人々の暮らしとの関わりなどを分かりやすく紹介。専門的な知識も、軽やかな語り口で伝えるため、参加者たちは自然と笑顔になる。雑学を交えたやりとりが続き、森の時間は次第に“学び”と“交流”の場へと変わっていく。単に目的地へ向かう移動ではなく、過程そのものが体験なのだ。

「タビビトノキ」と呼ばれる植物。大城さんが名前の由来や生態などを教えてくれた。
ここは撮影OK!と、フォトスポットも教えてくれる。
歩く所は整備されているので、体力があれば子どもも参加できる。


大自然の中でコーヒータイム
 そして滝が近づいた頃、大城さんは「もうすぐ滝に着きます。景色をより楽しむために、ここからは目線を下げて歩いてみてください」と参加者へ声をかけた。参加者たちは言われた通りに、足元の草花や苔に視線を落としながら階段を進む。そのまま数歩進み、ふと顔を上げた瞬間ーーー目の前に滝が現れる。大城さんだからこそ知る、“自然の見せ方”。そのさりげない配慮が、参加者の心に深い感動を刻んだ。
 看板もなければ、売店もない。あるのは、長い年月をかけて形づくられた自然そのものの景観。一同は滝を望む岩場にこしかけて、念願のコーヒータイム。大城さんが淹れた一杯を片手に、参加者たちはそれぞれ持参したパンで軽食をとる。滝音をBGMにした軽食とコーヒーの時間は、何にも代えがたい豊かさに満ちていた。

階段から目線をあげると、そこには滝が!

桜と旧暦行事の話題に花咲く

滝を眺めながら、沖縄の文化について話す大城さん

 「夏になると、大人も子どももこの滝で水遊びを楽しんでいますよ」と話す大城さん。
この日はちょうど、沖縄の桜が見頃を迎えている時期。本土とは異なり、濃いピンク色の花を咲かせる寒緋桜。その話題をはじめ、旧暦の行事や、家族・親族が集まる節目の儀式、タンカーユーエーや十三祝いなど、観光パンフレットには載らない、暮らしの中の沖縄文化が語られていく。
 沖縄に来るのは今回で4度目という参加者は、美ら海水族館など主要な観光地を巡ってきたという。だからこそ今回は、より深い体験を求めていた。「ガイドブックには載ってない体験ができると聞いて参加しました。沖縄の暮らしや遊びを知りたいと思って」そう語りながら、大城さんの植物の話や地域の風習に、興味深げに耳を傾ける姿が印象的だった。
リピーターが求めたのは、「観光」ではなく「暮らし」
 今回の“秘境の滝でのおもてなし”に参加した男性は、ロコリンクについて「今後、島バナナやシークヮーサーの収穫体験があれば、ぜひ参加してみたいです。はじめて食べる果物が自分で収穫したものだったら、より思い出に残りそう」と期待した。
 おもてなし体験が終わる頃には、参加者とホストの距離はすっかり縮まっていた。別れ際、参加者と大城さんは固く握手を交わし、「次はゆっくり呑みましょうね」と笑顔で再会を約束。観光客と案内人という関係を超え、人と人としてつながったことを感じさせる瞬間だった。

 観光名所を巡るだけでは見えない、沖縄の“日常”への関心。それは、この体験が単なるアクティビティにとどまらず、地域住民との接点を生み出している証でもある。繰り返し訪れているからこそ、次はもっと深く知りたい。ロコリンクの取り組みは、そんなリピーターの心に、新たな扉を開いている。(フリーライター・翁長奈七)
<LOCOLINK(ロコリンク)>
  https://locolink.jp/
「場所は秘密」が参加の条件 おもてなしアプリで見つけた、“秘...の画像はこちら >>
「場所は秘密」が参加の条件 おもてなしアプリで見つけた、“秘境の滝”と沖縄文化に出会う旅
ホストの大城さんを先頭に森の中を歩いていく。">
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「タビビトノキ」と呼ばれる植物。大城さんが名前の由来や生態などを教えてくれた。">
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