国際法を平然と踏みにじる暴挙が繰り返されている。第3次世界大戦の様相すら呈してきた。
直ちに攻撃と報復をやめ話し合いのテーブルに戻るべきだ。
 米国とイスラエルによるイラン攻撃が拡大する中、米潜水艦がインド洋の公海上でイラン軍艦を魚雷によって撃沈させた。乗組員180人のうち90人近くの遺体が収容された。
 米軍が魚雷で艦船を撃沈したのは第2次大戦後、初めてという。イランから3千キロ以上も離れた海域での戦闘行為は、中東にとどまらず交戦地域が一気に拡大する危険性がある。
 イスラエル軍は、イランのイスラム聖職者でつくる「専門家会議」の施設を空爆した。殺害されたシーア派の最高指導者ハメネイ師の後継選出に向けた会合を標的にした攻撃だ。
 アラブ首長国連邦(UAE)が対イラン攻撃を検討していると報じられている。イスラム教スンニ派の盟主サウジアラビアも加わる可能性があるという。両国が参戦すれば中東全域への戦火拡大は必至だ。
 イランへの攻撃は指導者殺害や軍事施設破壊にとどまらず、小学校までもが爆撃され児童約150人が死亡したと非難されている。軍事施設と民間施設、戦闘員と文民を区別するとした国際人道法に反する。

 トランプ米大統領は、イラン攻撃について、同国が進める核・ミサイルによる米本土攻撃の恐れという「差し迫った脅威を排除するため」として、正当化を図った。しかし、具体的な根拠は一切示されておらず明白な国際法違反である。
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 トランプ大統領は、イラン攻撃について「大きな波が間もなく来る」とも述べ、イラン上空の制空権掌握など大規模作戦をさらに拡大する意向を示している。「中東と世界の平和を達成する」と作戦を正当化するが、独善的過ぎる。
 米国とイスラエルは国際法を無視し、無法国家への道を歩んでいる。軍事大国が、法と秩序をねじ曲げる現実が世界に広がれば、日本の安全保障にも悪影響を与えかねない。
 一方、イランは、イスラエルや中東の米軍施設、親米国のUAEやカタールの工業地帯なども破壊。ホルムズ海峡を封鎖し米英のタンカーを攻撃している。
 このまま戦闘が拡大すれば、原油・天然ガスの供給が滞り、価格は高騰し、世界経済にも深刻な影響を与えることが懸念される。
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 米国とイスラエルによるイラン攻撃から6日で1週間。報復の連鎖は中東全域に拡大しようとしている。
 戦後、日本はイランをはじめとする中東諸国と油田開発などを通じ、友好関係を築いてきた。

 高市早苗首相は、報復に出たイランには自制を求めたが、攻撃を仕掛けた米側への評価は避けている。
 対米追従一辺倒では、平和国家として築いた国際社会の信用を失いかねない。 法の支配や国際法を順守する重要性を、主張すべき時に主張するのが真の同盟国としてあるべき姿である。
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