子どもたちがいた球場へ突如、軍用ヘリが降りてきたのである。けが人がなかったからと済まされるようなことではない。

 6日午後8時20分ごろ、米軍のUH1多用途ヘリコプター1機が名護市の許田野球場に不時着した。
 住宅街に隣接した球場で、少年野球チームが練習中だった。上空を旋回していたヘリが急に降りてきたので驚き、走って逃げたという。
 機体は米カリフォルニア州第3海兵航空団のヘリ飛行隊所属で、米軍普天間飛行場にローテーション配備されている。訓練中に警告表示が点灯したため予防着陸したと説明する。
 しかし、ヘリの周辺ではローターの回転により強風が吹く。昨年4月には米軍嘉手納基地内の小学校で軍用ヘリの飛行展示中、強風で日本人教員が転倒し死亡する事故が起きている。
 予防着陸だから危険はないとは言えない。
 本来あってはならないことだが、UH1ヘリの民間地への不時着は繰り返されている。2024年11月には国頭村宜名真の国道沿いの草地に。21年6月にはうるま市津堅島の畑に不時着した。
 なぜなのか。
整備不良なのか、操縦者に問題があったのか。
 予防着陸は潜在的なリスクがあるために取られる行動だ。無条件に許されるものではない。
 普天間飛行場では翌日も同型機が飛行する様子が確認されたが、米軍からは、なぜ警告が表示されたかの十分な説明さえいまだにない。米軍は不時着の原因と経緯を詳細に調査し県民に公表すべきだ。
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 渡具知武豊市長はたびたび住宅地上空の飛行をやめるよう要請してきた。そうした中での不時着だ。万一に備えての不時着であったとしても、大きな事故につながる懸念は拭えない。
 UH1ヘリは昨年5月、本部半島北側の上空で訓練中に重さ約18キロの付属品を落下させる事故も起こしている。そうしたことを考えれば、政府も米軍側に抜本的な再発防止策の提示を強く求めるべきだ。
 普天間飛行場は住宅が密集する市街地のど真ん中にある。政府は「普天間の危険性除去」として名護市辺野古への「移設」を進めるが、移設しても危険自体がなくなるわけではない。

 これだけ小さな島に基地が集中する限り、根本的な解決策とならないことは明らかだ。
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 復帰後から19年までに県内で発生した米軍機事故は墜落49件、不時着604件、部品落下など158件で計811件に上る。
 県民は絶えず事故の不安にさらされている。求められているのは、こうした基地負担を具体的にどう軽減していくのかということだ。
 自衛隊の南西シフトに伴い日米合同訓練が頻回・大規模に実施されるなど、逆に訓練は活発化しているのである。
 日米両政府には、基地負担軽減へ抜本的な対策こそを求めたい。
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