国際社会の平和と秩序を維持するために設けられた国連と国際法が、深刻な危機に直面している。
 国際法によって守られるべき子どもや民間人が戦火にさらされ、多くの子どもたちが将来の夢を絶たれ、命を失っているのだ。

 米国とイスラエルがイランに軍事作戦を始めたその日、イランの南部ミナブにある小学校が攻撃を受け、児童ら160人以上が死亡した。
 これに対し、トランプ米大統領は「彼らの兵器は非常に不正確だ」と述べ、小学校攻撃はイランによるものだと、根拠も示さず一方的に主張した。
 ロイター通信によると、米軍の調査担当者は、米軍が関与した可能性が高いとみている。
 小学校への攻撃は、戦争中に民間人や民間施設への攻撃を禁じた国際人道法違反に当たる。
 独立性のある調査を行い、真相を明らかにすべきだ。うやむやにしてはならない。
 米国とイスラエルによるイランへの奇襲攻撃について米国際法学会は「国連憲章が定める武力行使の禁止の違反に当たる」との声明を発表した。
 国連憲章2条4項は武力不行使原則を定め、加えて国際人道法は、戦闘の際にやってはならないことを定めている。
 国連憲章に反してウクライナに侵攻したロシアも、2万人ともいわれるウクライナの子どもたちを連れ去った。明白な国際人道法違反の行為だ。
■    ■
 連れ去られた子どもたちはロシア占領地のクリミア半島などに移動させられ、徹底的な「ロシア化」教育を受けさせられている。
 ロシアの支配地域では図書館からウクライナの書物が撤去され、ウクライナ語の授業が禁じられた。
ウクライナのアイデンティティーを破壊することが狙いだという。
 国際刑事裁判所(ICC)は子どもの連れ去りに関与した疑いでプーチン大統領に逮捕状を出している。
 イスラエルの執拗(しつよう)な攻撃を受け続けるパレスチナ自治区ガザにおいても、すさまじい破壊が進む。
 戦闘開始から2年余りで子どもの犠牲は2万人以上となった。昨年10月に停戦が発効して以降も犠牲はやまず、栄養失調に苦しみ感染症拡大のリスクに脅かされ続けている。
■    ■
 ICCは、イスラエルのネタニヤフ首相に対しても、戦争犯罪などの疑いで逮捕状を発付した。
 イスラエルの後ろ盾のトランプ政権は、この措置に反発し、裁判官や検察局のトップなどに制裁を科した。
 ロシア側はどうだったか。モスクワの裁判所は、ICCの赤根智子所長らに対し、欠席裁判で有罪判決を言い渡したという。
 子どもや民間人を、誰がどのように、軍事暴力から守るのか。
 米国に付き従うだけでなく、国際社会のルールを再確認する独自の取り組みを高市政権に求めたい。
編集部おすすめ