あれから15年。
東北の沿岸部を中心に壊滅的な被害をもたらし、1万5901人が命を落とした。2519人が今も行方不明のままだ。震災関連死は3810人に上る。
交通網や生活基盤の整備は着実に進んでいる。
岩手、宮城、福島では防潮堤の整備がほぼ完了し、JR常磐線など被災した鉄道路線も復旧した。
復興道路や復興支援道路は約570キロに及ぶ。災害公営住宅も計画された約2万9千戸が完成した。
一方で、産業の再建は道半ばだ。特に東北沿岸の主要魚市場の水揚げ量は震災前の半分程度にとどまる。
震災15年を前にした全国世論調査では「被災地の復興は順調」と評価する人は6割弱となっている。
暮らしや地域社会が再生できているのか。
「風化の波」にあらがう動きも出ている。津波で犠牲者が出た36市町村のうち約半数の19市町で、死者・行方不明者の氏名を刻んだ慰霊碑などを設置した。
氏名は一人一人の「生きた証し」であり、実相を伝え、風化させない役割を果たすのではないか。
15年を単なる区切りとせず、震災の被害と教訓を共有し、未来へつなげる責任を問い直す節目にしなければならない。
■ ■
東京電力福島第1原発事故の影響は今も横たわる。
福島県内では7市町村に帰還困難区域が残り、面積は309平方キロに及ぶ。避難者は2万3千人余りに減ったが、住民の帰還は思うように進んでいない。
放射線への懸念や、生活への不安を払拭できないからだ。
政府は震災後、原子力への依存度を低減する方向にかじを切ったが、国際情勢の変化や燃料高騰などを背景に「最大限に活用する」と方針転換した。
ただ、福島第1原発では廃炉の見通しが立たず、廃棄物の保管や処分などの課題が山積したままだ。
中部電力浜岡原発の再稼働審査では、耐震設計に関わるデータを不正に操作していたことが表面化した。
事故の教訓を忘れたとしか思えない。
安全をないがしろにすることは認められない。
■ ■
この間、沖縄でも自然災害が相次いでいる。
そのたびに、河川の浚渫(しゅんせつ)や、避難時の交通渋滞、避難所の周知不足、観光客や外国人の対応などハード、ソフトの両面から課題が顕在化するようになった。
一方、県内41市町村のうち、30市町村が「福祉避難所」の体制が不十分と答えるなど、自治体の備えは万全とは言えない状況だ。
災害には「想定外」の事態も付きまとう。問題点を見つけ、改善する作業を続けることが重要だ。
経験を教訓に変え、根付かせる不断の努力を怠ってはならない。

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