「災」と聞くと、例えば地震や台風みたいな自然災害や、不慮の事故のような、人間の力や意志ではどうしようもできない出来事、というイメージ。では、災いと災いじゃない事の境界はどこだろう。

 さて問題です。いくつかのご遺体があります。どれも不慮の事故のように見えますが、全員髪の毛のごく一部を切り取られています。さて事件でしょうか、事故でしょうか、それとも災いでしょうか。
 数々の悲惨な死の原因をひもとくサスペンスのようでありながら、作品のメインテーマは災いをどう捉えるかという観客への問いと、俳優・香川照之さんの演技。
 死に関わりのないような顔をしながら、常に死者の脇で怪しげにうごめく災いの権化のような男を香川照之七変化と言わんばかりに圧巻の大怪演。「一見の価値あり」とは、こういう時に使う言葉だと思いました。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『災』圧巻の怪演 一...の画像はこちら >>
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