2026年度予算案が13日夜に衆院を通過した。
 衆院予算委員会は異例ずくめだった。
審議時間は2000年度以降で最短の59時間。坂本哲志委員長(自民)は「職権」を乱発して審議日程を決め、省庁ごとに細目を審議する分科会も開催されなかった。
 高市政権の「責任ある積極財政」方針の下で26年度当初予算は過去最大の122兆円に上る。
 しかし、巨額の国債費、増大する防衛費や社会保障費の在り方などについて熟議が尽くされたとは言い難い。
 発端は2月の代表質問で高市早苗首相が新年度予算の3月末までの成立を目指すと明言したことにある。充実審議を求める野党を押し切った。
 行政府の長である首相が立法府である国会の日程を左右することは三権分立の原則を揺るがす。国会軽視は、憲法が定める財政民主主義の理念にそぐわない。
 首相の意向に沿うような坂本委員長の姿勢も問われよう。
 通常、与野党の合議で決められる審議日程について坂本委員長は16回も職権を行使し、一方的に決めたのである。
 締めくくり審議の最中には、誹謗(ひぼう)中傷のヤジがあったとして一時中断を求めた共産党議員の発言に対し、いら立ちをあらわにする場面もあった。
 野党が要求していない閣僚を予算委に出席させ、首相の答弁回数を抑制するなど首相への過剰なまでの忖度(そんたく)がうかがえる。

 極めて問題の多い委員会運営だった。
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 野党4党は委員長の解任決議を提案したが、反対多数で否決に。中道改革連合などが出した予算組み替えの動議も一蹴された。
 高市首相は第2次内閣発足後の記者会見で、衆院選で大勝したことについて「白紙委任とは思わない」としていたが、これまでの対応は発言と真逆というほかない。
 そもそも審議日程が窮屈になったのは、首相が通常国会冒頭に衆院を解散したからだ。「数の力」で押し切るやり方は認められない。
 審議時間が圧縮される中、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃についての評価をはじめ首相が正面からの答弁を避ける場面も目立った。
 衆院解散も、国会審議においても、熟議を無視するような対応だ。
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 本予算の成立がずれ込めば、新年度の施策遂行に影響を及ぼす。年度内の成立に注力するのは理解できる。
 ただ、予算案の国会審議は与野党でより良い税金の使い方を追求する過程であるだけでなく、国民が政権の方針や重要政策を知る機会でもある。スケジュールありきで進めるべきではない。

 中東情勢の悪化に伴い、物価高対策の再検討も迫られている。週明けから始まる参院の審議では、十分な時間を確保し、今度こそ熟議の機会としなければならない。
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