1年間かけて沖縄の歴史を学び、平和学習の集大成となるはずだった研修旅行が暗転した。新基地建設が進む名護市辺野古沖で16日に起きた船2隻の転覆事故。
想定外の高波に2人の尊い命がのまれ、現場は騒然とした。(社会部・山城響、北部報道部・大庭紗英)
 「ただごとじゃないと分かった」。辺野古の浜で待機していた同志社国際高校の生徒たちに、埋め立て工事について説明していた70代の男性は、辺野古漁港内に急行してきたパトカーで異変に気付いた。続々と集まる地元の人たち。すぐに生徒たちをバスに戻すと、一帯に警察の規制線が張られた。
 犠牲になったのは「不屈」船長(71)と「平和丸」に乗船していた同校2年の女子生徒(17)。
 事故を知って漁港に駆け付けた辺野古区の50代男性によると、船長が陸に搬送され、30分ほど後に女子生徒も運ばれてきたという。2人とも意識がないように見えた。救急車で搬送される直前まで心肺蘇生が続いたという。他に救助された生徒たちも足の裏をけがしている様子だった。
 学校によると、生徒たちを4グループに分け、最初の2グループが2隻に乗船して沖合に出た。漁港で待機する第2陣は引率教諭が県警から事故の一報を聞くまで知らなかったという。

 名護市宇茂佐の北部地区医師会病院には亡くなった女子生徒を含む16人の生徒が搬送された。救急外来のフロアは治療を終えた病院着姿の生徒が医療スタッフに支えられながら、タクシーに乗って宿泊先の那覇に向かった。高校は事故後の旅程を全てキャンセルした。
 「本校で一番大事な行事で、平和を考える機会にしてきた。それが生徒の事故につながったことに言葉がない」。病院に駆け付けた同校の教頭は言葉を詰まらせた。亡くなった女子生徒について「とても真面目で優秀。平和への関心が高かった。とてもつらい」と話した。
 平和丸を操船していた男性船長は午後4時45分、海上保安官らに連れられて車両に乗り込み、中城海上保安部に移動した。調べは午後10時ごろまで続いた。
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平和学習の研修旅行が暗転 辺野古沖で転覆2人死亡 教頭「とてもつらい」
クレーンで引き揚げられる転覆した船「不屈」。操舵席が破損している=16日午後5時34分、名護市・辺野古漁港(金城健太撮影)
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