政府が第6次男女共同参画基本計画を閣議決定した。
 憲政史上初となる女性首相の下で作成された基本計画だ。
それなのに前進が見られないどころか、後退の懸念すらある。
 基本計画は性別に関係なく活躍できる社会の実現を目指す。男女共同参画基本法に基づき2000年に第1次を作成。以降5年ごとに見直しが行われている。
 最も大きな懸念は旧姓の通称使用拡大に向け、「単記」使用を可能とする法制化の検討が盛り込まれたことだ。公的書類などに旧姓だけを記載できるよう法整備を検討するという。
 背景にあるのは高市早苗首相の意向だ。第2次内閣の発足時に、旧姓の単記を可能とする基盤整備の検討を関係閣僚に指示していた。
 黄川田仁志男女共同参画担当相は法制化の意義について「婚姻による氏の変更で不便や不利益を感じる人を減らせる」と述べた。一方、関連法案の提出時期は明言していない。
 第6次計画の内容については約1年前から有識者会議が議論してきた。頭越しの「法制化検討」追加記載は、それまでの審議をないがしろにする行為ではないか。

 別姓制度では戸籍上の姓を同じにするか別にするかを夫婦が選べるのに対し、旧姓使用の法制化では戸籍上の「夫婦同姓」が維持される。
 選択的夫婦別姓制度の導入が遠のく恐れがある。
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 選択的夫婦別姓制度を巡っては法制審議会が1991年から本格的な検討を始め、96年には別姓制度の導入を含む民法改正案の要綱を答申。男女共同参画基本計画でも第1次から検討課題とされてきた。
 しかし、第6次においても「国民の意見や国会での議論の動向を注視しながら検討を進める」との表現にとどまっている。政府は本当に検討する気があるのか。
 旧姓使用の法制化が実現すれば「二つの公的な姓」に伴う混乱も危惧される。女性のキャリア断絶も生みかねず、根本解決にはならない。
 もう一つの懸念は、管理職など「指導的地位」の女性の割合の引き上げについても、政府のやる気が見られないことだ。第6次計画では「2020年代の可能な限り早期に30%程度」を目指すとしたが、これは5年前と同じ文言だ。
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 指導的地位の女性割合の引き上げは第1次からの大目標だ。政府が「3割目標」を掲げたのは03年。
以降20年までに目指すとしてきたが達成できず、第5次からは期限を先送りにした経緯がある。
 ジェンダーギャップ解消の視点で見ると、日本は国際的な水準から大きく立ち遅れている。政治や社会の意識変革が追い付いていないことが根本にある。
 かけ声だけでは目標達成が難しいことは明らかだ。政治・経済分野でのクオータ制の導入など実現を後押しする制度導入を検討する時だ。 
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