主人公ジョン・クランコは、観客を「美」で感動させるためだけに生まれたような人。振付家としてダンサーたちの才能を引き出し、最高の舞台を演出した天才は、おとぎ話のような物語ばかりだったバレエに、初めて大人の恋の物語を持ち込み成功を収め、代表作「オネーギン」の大ヒットによりバレエの歴史は変わったのだそうです。

 「オネーギン」や「ロミオとジュリエット」など、クランコが名作を生み出すまでの苦悩や困難の過程を、プロのダンサーの出演や実際の劇場でのロケを通し極めて美しく描いた感動作は、同時にとても切ない。
 美しい舞台の実現を目指しながら、自らの中に宿る美しいイメージを共有できる誰かを常に求め続け、ついに得られないクランコの孤独が、「美」の隣にずっと鎮座している。それも含め美しいのだけれど。(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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