政府は、インテリジェンス(情報活動)の司令塔機能強化に向けた「国家情報会議」創設法案を、開会中の特別国会に提出した。
情報会議は首相を議長とし、官房長官、法相、外相、防衛相ら9閣僚で構成。安保やテロなど重要情報活動とスパイ活動や選挙干渉といった外国情報活動への対処を審議する。
実務は、既存の内閣情報調査室を格上げする「国家情報局」が担う。各省庁に情報提供を要求できる総合調整権を持ち、警察庁や公安調査庁、外務、防衛両省が集めた情報を集約する。
今国会で成立を図り、夏ごろに発足させる構えだ。
インテリジェンス機能の強化は高市早苗首相肝いりの政策で、日本維新の会との連立合意にも明記されている。
野党は国会で、情報局が時の政権によって都合の良い情報ばかりを収集・提供する「忖度(そんたく)機関」に陥る可能性を指摘した。
安保に関する重要事項を審議する機関として2013年に設置された首相や外相らがメンバーの「国家安全保障会議」(NSC)との役割分担も曖昧だ。
権力と一線を画すことができるのか。
過度な情報収集への歯止め策、独立性の高い第三者機関によるチェック、事後検証を可能にする議事録の作成や情報公開、国会報告などの透明性確保…。徹底した議論が必要だ。
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歴史が証明するように、情報機関は、時の権力者や政府に利用されやすい。
日本でも戦時中に国策遂行のため情報収集と言論統制を担った「内閣情報局」という先例があったことを忘れてはならない。新聞統合などで報道への指導取り締まりを行った。
政府による行き過ぎた情報収集と言論統制への反省に立って、日本は戦後、権限の強過ぎる情報機関を持つことに距離を置いてきたのではなかったか。
国家情報会議の創設理由とされた、スパイ行為が国益をどう損ねているのか、その実態を政府は十分説明していない。法整備の根拠となる立法事実が不足していると言わざるを得ない。
スパイ行為が疑われ、国民への監視が強まれば、憲法で保障された、自由であるべき市民運動や言論活動の萎縮につながりかねない。
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第2次安倍政権は14年特定秘密保護法を、17年には「共謀罪」法を施行した。経済安全保障に関わる重要情報を保護する法律も25年に施行された。
高市政権は、今回の国家情報会議法案を皮切りに米中央情報局(CIA)日本版となる「対外情報庁」創設やスパイ防止法の整備を進めようとしている。
「国論を二分する政策」だからこそ、排外的な世論に流されない慎重な国会審議が必要だ。
なし崩し的に、監視社会化が進む懸念が拭えない。

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