毎年変化していく就活。業界や企業によっても特徴があります。
今年の傾向と対策は?就活生を支えるキャリアコンサルタントに教えてもらいました
■松堂(城間)美和子さん キャリアデザイン研究所代表、1級キャリアコンサルティング技能士

松堂(城間)美和子代表

Q:今年の就活の傾向を教えてください
 政府が、5日以上の開催などの条件を基に、インターンシップ(就業体験)での評価を本選考に活用できる「採用直結型インターンシップ」を認めたことで、早期化がさらに進んでいます。
 就活の解禁は3年生の3月ですが、夏休みのインターンシップまで前倒しになったと言えます。インターンシップでの評価を踏まえ、書類選考と面接を10月に実施し、年明けの1月には内定を出すという企業も出てきました。これまでは3月解禁ルールがあったので水面下での動きでした。
Q:問題はありますか?
 志望動機すら定まっていない段階で、内定が出てしまい、人生の選択を迫られる場合があります。就活は自分を知ることから始まります。これまでを振り返り、経験を通して培った自分なりの考え方や生きざまをきちんと整理しないと、就きたい職業やなりたい将来像を思い描くことはできません。自己分析ができていないままでは、企業に振り回されることになります。
Q:早めの対策が必要でしょうか
 就活の早期化で学業がおろそかになるとの意見もありますが、現状に対応するには学生の活動も早い方がよいでしょう。
 各大学内の企業説明会はこれまで3~4年生が対象でしたが、 ほとんどが1年生からの全学年に広がっています。こういった就活イベントに1・2年生から気軽に参加することで、仕事や働き方について考えるきっかけになります。
 気を付けたいのはテクニックに走るのではなく、これからの経験に生かすこと。
就活は自己分析が重要と述べましたが、それは経験を積むほど、深みが出てきます。1・2年生のうちは学業やサークル、アルバイトなど今しかできない経験を楽しむべきです。就活イベントに触れながら、経験を積んでいけば、自己分析もスムーズにいきます。
Q:3年生の3月から始めた学生は遅れていますか?
 まったく問題ありません。3月解禁が本来のルールです。ただ、動きながら考えた方がよいでしょう。企業説明会が続くので、業種や職種問わずまずは参加する。エントリーシートの応募も始まるので、自己分析もしっかりしたいですね。
 早期化で解禁前に内定をもらう学生もいますが、一部です。

 
 最近は大きく3つの段階が見られます。
 
 第1の段階は、3月の採用広報解禁から6月頃の内定獲得に至る時期で、主要企業の採用活動が集中し、多くの学生が活動の中心とします。第2の段階は、4年生の夏休み明けから秋にかけてで、追加募集や秋採用の動きが活発化します。
第3の段階は、年末年始以降で、長期募集を行う企業の採用が続きます。
 
 近年は早期化が進む一方で、通年化の傾向も強まっています。
 
Q:自己分析のポイントは?
 
 自問自答を繰り返し、自分を言語化していく作業です。そうすることで、大切にしたい価値観、譲れない軸が明確になっていきます。自分の軸ができると、志望企業選び、エントリーシート記入、面接といったその後の就活で無駄が少なくなり、一気に成長できます。軸がなく、感覚や印象だけで志望企業を選んでしまうと、せっかく内定をつかんでも最後まで悩むことになります。
 
 また、就活は内定をもらうまで受験が続きます。志望分野でない企業を選ぶこともあります。そういった時も自分の軸があれば、企業に社会的役割と自分の考えを合致させるなど、志望する意義づけができたり、やりがいを見つられたりと地に足の付いた選択ができます。就活の厳しい日程の中、好き嫌いでだけでは難しい選択です。
 
 自問自答を1人でできる学生もいますが、視野や思考が狭まってしまいがちです。キャリアコンサルタントやアドバイザーを頼るとスピード感も出ます。
敷居が高いと思われているようですが、各大学やハローワークに常駐しています。気軽に訪ねてほしいです。
 
 就活は成長のチャンスです。きちんと向き合うことで、社会人になる心構えを学べます。

Q:生成AI(人工知能)を使う学生が増えています
 AIでブラッシュアップした文章と、自身の原体験が結びついていないことが多いですね。文章としてはきれいなのですが、本人が理屈づけできなければ、説明すらできなくなってしまいます。面接でどうなるかは想像できると思います。自己分析、業界や企業研究が乏しかったため、意味不明になってしまった文章もありました。やはり自己分析をしっかりやった上で利用した方がよいでしょう。
 新たな視点を得るツールとして利用でする方法もあります。不安や疑問をぶつけて、自分の考えを整理していくのもよいですね。
Q:親世代の関心も高まっています
 アドバイスがあれば、学生が就活に入る前から関わっていた方がよいです。
就活が始まってしまうと、学生の方向性が決まっていきます。自己分析や企業説明会などハードな日程をこなしながら、ようやく確立してきた方向性と異なるアドバイスがあると混乱してしまいます。親として希望や条件があれば、就活前に早めに伝えておくことで、学生も参考にしやすいです。
 最近では横文字の新しい企業も増えてきました。聞いたことのない企業で心配なのは理解できますが、そこで「だいじょうぶ?」と聞いてしまうと、学生の不安をあおってしまいます。

 
 「どこの業界にしなさい」「この企業はやめなさい」なども同じです。始まる前に言っておけば、学生は選ばなかったかもしれません。
 
 学生も悩みながら、それでも挑戦しています。始まったら、応援する姿勢を明確にし、温かく見守るのがベストです。一喜一憂してしまう浮き沈みの激しい時期です。家族のいる家に帰るだけで安心できますし、おいしいご飯があるだけでもうれしいものです。最近では保護者向けのセミナーも充実しています。
ぜひ参加してみてほしいです。
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