そもそも現行の社会保障制度は人口が拡大していた1960~70年代に骨格が築かれた。少子高齢化が言われて30年以上がたっており、人口減少も進む。
抜本的な制度改革の議論こそを進めるべきだ。
 衆院選で遅れていた社会保障改革議論がようやく動き出した。
 自民党と日本維新の会は連立合意を基にした社会保障改革に関する実務者協議を開いた。高齢者の医療費の窓口負担割合や、会社員らに扶養される配偶者が保険料を自ら納めずに年金を受け取れる「第3号被保険者制度」の見直しなど13項目を議論する。
 医療、介護、年金など社会保障は国民生活の安心の基盤だ。一人一人の暮らしや命にも関わる制度であり、見直しには国民的な議論が求められる。
 13項目には高齢でも働き続けられる社会実現のため65歳以上とされる「高齢者」の定義見直しや、人口減少が進む地域での持続可能な医療・介護サービスの制度設計なども盛り込まれている。
 現役世代の社会保障負担軽減は維新の政策の柱でもある。
 しかし、社会保障改革は、かかる費用を「誰が」「どのくらい」負担するのかの議論を抜きにはできない。そのためには必要なデータや試算を国民に提示して、負担についても丁寧に議論する必要がある。
 政府・与党は6月ごろに決定する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させるため、5月中にも骨子を取りまとめるというが、2カ月程度で十分な議論ができるのか。
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 おととし末ぎりぎりに上限幅が提示された「高額療養費制度」を巡っては、がんなど重い病気の患者の負担になるとして批判が噴出し、予算案から撤回された。

 審議会での議論も経ないなど、拙速な見直しが患者団体などの不満を買ったことは記憶に新しい。
 「OTC類似薬」の保険適用見直しでも、当初の完全保険適用除外は見送られた。政府は2027年3月から約1100品目に対し薬剤価格の4分の1を特別料金として追加負担する仕組みを導入する。
 共通するのは国民の納得が得られていないという点だ。
 高市早苗首相肝いりの社会保障国民会議も、政権による強硬な予算審議などを理由に参加を見送っていた中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党が早ければ今週から参加するという。
 しかし、拙速に進めるべきではない。
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 国民会議は2年限定の食品消費税率ゼロや給付付き税額控除などについて話し合う。
 物価高対策は急務だが、消費税は公費の柱となる財源だ。ただでさえ国債で補っている状況で、減税分の穴埋めをどうするのか。
 本来、国民会議でも制度の見直しなど社会保障改革の根幹について議論すべきだ。安心を土台に、最も公平な負担と給付の在り方の見直しを優先しなければならない。
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