那覇市鏡原町で金城憲一さん(83)とヒロ子さん(75)夫妻が営む老舗理髪店「カットハウス・キャッスル」が31日、開業53年の歴史に幕を閉じる。憲一さんは「店舗の場所といいお客さまに恵まれた。
生まれ変わってもこの仕事がしたい」と話し、ヒロ子さんと笑顔で見つめ合った。(仲栄真宏通信員)
 伊江島出身の憲一さんは15歳の頃、近所の理髪店が助手を探していると聞き、中学卒業3日後から理容師助手として働き始め、見習いとして5年間、技術を学んだ。腕を磨くため20歳で那覇市に移り、老舗理容室として有名だった「ナイル理容室」本店で店長職を任された。
 当時、ヒロ子さんはナイル理容室の支店で働いていた。憲一さんと住まいが近く、出退勤時に利用するバスで頻繁に乗り合わせ、その後結婚。憲一さんは29歳で独立し、1973年、現在の場所に店を立ち上げた。
 自身の理髪店を構え、理容師の腕を競う大会で優勝するなど数々の成績を残した。丁寧で正確な技術は口づてに広まり、沖縄市や渡名喜島、南北大東島などの遠方から足を運ぶ人や親子3世代で利用する人もいた。
 常連客の大城健次さん(78)は、憲一さんが以前勤めていたナイル本店時代から57年間通っている。かつてはやった「アイパー」の髪形にしてもらった時、「処理がとても丁寧だった。その丁寧さにほれ込んで以来、月1回は散髪しに来ている」と明かす。
 しかし憲一さんが近年、膝と腰に痛みを感じるようになり、夫妻で話し合い、老後のことも考えて閉店を決めた。
店の建物は4月から別の理容師に引き渡す。
 ヒロ子さんは長年続けられた秘訣(ひけつ)について「どんなに時間がかかろうと、お客さんの要望には応える姿勢で取り組んだこと」と話す。
 一方、憲一さんは「妻が愚痴一つこぼさずに、ここまでついてきてくれたから」とはにかむ。「自分の仕事を好きになれば、どんなに難儀なことでもやり抜くことができる。今後は健康に気を付けながらパークゴルフやカラオケを楽しみたい」と目を細めた。
半世紀通った常連客「アイパー処理の丁寧さにほれ込んだ」 開業...の画像はこちら >>
半世紀通った常連客「アイパー処理の丁寧さにほれ込んだ」 開業53年の那覇市の理髪店キャッスル、惜しまれつつ3月31日に閉店へ
53年間、店を続けてきた金城憲一さん(右)とヒロ子さん
編集部おすすめ