この国境の島に陸上自衛隊の与那国駐屯地が開設され、約160人の沿岸監視隊が編成されたのは、2016年3月28日のことである。
きょうでちょうど10年になる。この間に島はすっかり変わってしまった。
22年4月、航空自衛隊の第53警戒隊移動式レーダー部隊を常駐配置。24年3月、陸自の電子戦部隊が移駐。26年度には対空電子戦部隊を配備する計画だ。
今年2月、防衛省は地対空ミサイル部隊を30年度に配備すると町に説明。ミサイル部隊が配備されれば、最終的に隊員は約370人まで膨れ上がるという。
こんな短期間に集中的に基地が造られ、各種部隊が配備されるのは、異常というほかない。
駐屯地開設に伴い、与那国島で日米共同訓練も行われるようになった。
陸自のオスプレイが離陸時にバランスを崩し、地面に接触し損傷する事故が起きたのは、24年10月の訓練の時である。
有事の際の先島全体の住民避難計画も明らかにされた。
開設当時、町長として自衛隊誘致に積極的だった外間守吉さんは、これほどまでの基地拡張と機能強化は「全く予想できなかった」と言う。
この10年は、防衛上の必要性が優先された「軍事化の10年」であった。
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町議会の誘致決議、住民投票における賛成多数の民意。手続きを踏んだ上で駐屯地が開設されたのは事実である。
自衛隊誘致の背景にあったのは、人口流出に対する強い危機感だった。
だが、住民のほとんどは、島がこのような形で要塞(ようさい)化され、ミサイル部隊まで配備されるとは、当初、知らなかったし、知らされてもいなかった。
町民の中には、要塞化の動きを「抑止力の強化につながる」と肯定的に受け止める声と、「戦争に巻き込まれる危険性が高まる」と懸念する声がある。
昨年8月の町長選では、保守系現職で強硬派の糸数健一氏が敗れ、過度の機能強化に慎重な上地常夫氏が当選した。自衛隊票も一部が流れたと言われる。
急激な軍事化への懸念の高まりだと受け止めたい。
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10年の間に、与那国だけでなく、南西諸島の各地で自衛隊の駐屯地建設や部隊配備などが進んだ。
いわゆる「南西シフト」と呼ばれる動きである。
日中双方は、九州・沖縄から台湾、フィリピンに至る第1列島線で激しいせめぎ合いを続けている。
とりわけ高市早苗首相の「台湾有事」発言以来、日中関係は急速に悪化した。軍事力に依存するだけでは、この状況を改善することができない。
日中間のパイプを太くし、意思疎通を図り、交流を広げ、両国の信頼関係をつくり出すことが大切だ。

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