中東情勢の悪化が、家計や企業活動に影を落とし始めている。「オイルショック」再来の不安も広がる。

 米国とイスラエルによるイランへの攻撃から1カ月余り。イランは対抗措置としてホルムズ海峡を事実上封鎖した。
 同海峡は世界の石油消費量の5分の1が通る大動脈だ。封鎖による原油価格高騰が各国の物価を押し上げている。 
 23日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの県内平均小売価格は、227円10銭で過去最高となった。悲鳴が聞こえてきそうな値段だ。
 政府によるガソリン補助金の支給再開で徐々に落ち着いているものの、離島などでは通常でも高値傾向にあり、価格抑制効果を見極めなければならない。
 さらなる懸念は、原油高の影響で上昇が見込まれる電気・ガス料金への補助金が、このタイミングで終了することだ。
 4月使用分(5月請求)から値上がりするため、エアコン利用が欠かせない夏場に向けて重い負担となる。
 帝国データバンクの調査によると、4月は2516品目の飲食料品が値上がりする。
 製造、物流コストの上昇は避けられず、今後も身近な食料品や日用品の値上げが続く恐れがある。
 家計負担は年間5万円以上との試算も出ている。

 石油備蓄の放出やガソリン補助金が再開されても、これだけでは心もとない。
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 2026年度予算案を巡って、立憲民主党の斎藤嘉隆国対委員長は公明と連携し燃料費の抑制策を含む修正案を提出すると、29日のNHK番組で語った。
 国民民主党の玉木雄一郎代表も、エネルギー価格高騰対策として予算案の増額修正を参院に提出する考えを示している。
 折しも参院予算委員会で審議中の予算案は、高市早苗首相が目指していた3月中成立の見送りがほぼ確実となった。政府は暫定予算案を国会に提出した。
 昨年12月に閣議決定された予算案は、中東情勢の悪化による国民生活への影響が考慮されていない。
 物価高対策は適切なのか。影響を大きく受ける低所得層への対応は十分か。電気・ガス料金の補助延長なども含め議論すべきだ。
 自民党は衆院では審議を強引に押し切ったが、少数与党の参院では「数の力」が通用しない。生活者目線で丁寧に審議を尽くしてもらいたい。
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 事態の長期化に備えた対応も検討する必要がある。

 ガソリン使用を促しかねない補助金を再開した日本の動きと対照的なのが、同様に中東依存度が高い韓国だ。李在明(イジェミョン)大統領は、乗用車利用を控え公共交通機関を活用するよう国民に呼びかけた。
 戦闘をやめさせることが最優先事項だが、終結しても破壊されたエネルギー施設の復旧には時間がかかる。
 生活や企業活動の中で省エネを進める対策も同時に求められる。
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