攻撃の応酬が続くイラン情勢は、パキスタンによる交渉仲介が行き詰まり、地上作戦は避けられないとの観測が強まりつつある。
 「イランの空軍は壊滅した」。
トランプ米大統領が国民向けの演説で成果を強調したその2日後、米軍のF15E戦闘機がイランに攻撃され、墜落した。A10攻撃機も被弾し、近隣のクウェートに移動した後、墜落したという。行方不明だった乗員は米軍によって救出された。
 米国とイスラエルによるイラン攻撃の「特異性」は、宗教色の強さである。
 米国家テロ対策センターのケント所長は、トランプ氏の攻撃開始を「イランは差し迫った脅威ではない」と真っ向から批判して辞任。
 「イスラエルと米国内のロビー活動から圧力を受けて戦争を始めたのは明らか」だと公開書簡で主張した。
 キリスト教福音派などの岩盤支持層に支えられているトランプ政権は、特定の宗教によって軍事作戦を正当化する言動が目立つ。
 十字軍のシンボルである「エルサレム・クロス」のタトゥーを胸に刻んでいるヘグセス国防長官は、宗教の教義を持ち出してイラン攻撃を正当化する。
 合衆国憲法修正第1条は政教分離を定め、信教の自由を保障しており、軍高官の言動を疑問視する声が軍内部から上がっている。
 ローマ教皇レオ14世はバチカンでの集会で現状を憂慮し、外交での解決を図るよう訴えた。
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 イラン攻撃の「特異性」は、ホワイトハウスの公式アカウントにも見られる。
 任天堂のゲームにあるテニスやボクシングなどのシーンを、イラン攻撃とみられる実写映像とつなぎ、戦果を誇示する動画を公開したのだ。

 湾岸戦争の時にも精密誘導爆弾のカメラ映像が茶の間に流され、「テレビゲームのような戦争」だと言われた。
 だがそれよりもはるかにゲーム的で、爆撃で死んでいった人々の視線がまったくない。
 このような映像をホワイトハウスが流すこと自体、道徳的退廃というしかない。
 2月28日の奇襲攻撃以来、トランプ大統領の発言には一貫性がなく、出口戦略もあいまいなままだ。
 その言動に対するイラン側の不信感は根深く、米国との協議に応じる姿勢を見せていない。
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 中東には、沖縄に駐留する第31海兵遠征部隊が、佐世保基地の強襲揚陸艦トリポリとともに派遣されている。
 嘉手納基地からも第18航空団の要員が作戦支援のため派遣された。
 地上作戦が始まれば、事態はさらに混迷の度を深める。原油価格の高騰はすでに日本をはじめ多くの国々の住民生活を直撃しているのである。
 新たな攻撃を何としても止めなければならない。高市政権は停戦に向けた外交努力をもっと強めてもらいたい。
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