地鳴りのような低音と青い照明に包まれたステージに、由薫とバンドメンバーが登場。
そして、新曲「Mermaid」や、「お惣菜をひとりで体育座りして食べる夜もあるでしょ?」との語りから「勿忘草」を披露。茜色の照明のなか、由薫の歌声が「涙に染まった夕日も 迎えにきてくれた」と優しく響いた。静けさをまとった前半を締めくくるのは、代表曲「星月夜」。目を閉じ、胸に手を当てながら歌う姿からは、孤独から光へと向かう強い意志が感じられた。
後半は一転、「ここからは一緒に盛り上がってくれますか!?」の声とともに「Clouds」へ。観客の手拍子が重なり、会場が一体感に包まれる。「Rouge」「1-2-3」と続けて披露され、エネルギッシュな空気がフロアに広がった。
大学時代のエピソードも披露され、自身が音楽の道へ進むきっかけとなったのは、アメリカの詩人エミリー・ディキンソンの存在だったと明かした。
さらに「A word is dead(ことばは死んだ)」の詩を朗読し、「リリースした瞬間に音楽は初めて生き始める。こうしてライブで歌っているときこそ、自分の音楽が本当に“生きている”と感じる」と語りかけた。
終盤、「ツライクライ」では力強く腕を振り下ろすパフォーマンスを見せ、続く「Feel Like This」では「Just wanna feel like this」とありのままの気持ちを解き放つように歌唱した。
アンコールでは「Crystals」、そして「もう一度」を観客と合唱。最後はステージにひとりで残り、初の弾き語りツアー『UTAU』の開催を発表した。由薫はギターを手に「brighter」を歌い上げ、“特別な夜”の幕を静かに閉じた。サウンドメイクやアレンジ面で洋楽のエッセンスが香り、懐かしさがありながらも新鮮に響く由薫の楽曲の魅力が凝縮された、充実したライブとなった。