1月17日に公開されて以来、「今年ベスト確定!」など絶賛の口コミが広がり、SNSには日々熱のこもった感想やファンアートがあふれ、今も盛り上がりが加速している香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』。驚きだったのは、女性グラビア週刊誌『anan』(マガジンハウス)3月26日発売号のバックカバーと後ろ読み企画に、本作の監督&キャストが登場したこと。

 そもそも日本のファンの熱狂ぶりが香港に伝わり、2月に「大ヒット御礼 来日舞台あいさつ付き上映会」が実現。その際、監督とキャストの撮影&インタビュー行われ、バックカバー&後ろ読み企画につながった。

■映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』とは

 香港映画史上歴代No.1ヒット(広東語映画動員数/2024年9月現在)を記録した、アクション・エンターテインメント大作。舞台は1980年代の九龍城砦。香港へ密航してきた若者・陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、黒社会の組織に追われ、九龍城砦へ逃げ込む。そこで、城砦の秩序と平和を守る龍捲風(ロンギュンフォン)や、彼を慕う信一(ソンヤッ)、十二少(サップイー)、四仔(セイジャイ)ら住民たちと絆を深め、そこでの暮らしに生きがいを見出していく。しかし、時代の流れとともに、九龍城砦をめぐる覇権争いが激化。陳洛軍らもその渦の中に巻き込まれていく──。監督はソイ・チェン、アクション監督は谷垣健治、音楽は川井憲次が担当。

 配給のクロックワークスによると、「公開前から一定のコア層の支持は想定しており、ある程度の興収規模を見込んで展開を計画していましたが、結果的には想定を大きく上回るヒットとなりました。最終的に興行収入は4億円を突破し、香港映画としては近年稀に見るロングランヒットを記録しました」。

 公開後、熱量の高い反応がSNSを通じて広がり、それが新たな観客を呼び込むという形で、公開から3ヶ月以上にわたり長く愛される作品になった。

■“語りたくなる映画”が生んだ拡がり

 今回の現象を前出の担当者は次のように語る。

 「“観た人が語りたくなる”、その口コミの強さこそが、本作の広がりを支えた最大の原動力だったと思います。最も印象的だったのは観客層の広がり方と、関心の多層化です。公開当初は、1990年代の香港映画やアクション映画に親しんできた40代以上の男性層を中心に動き出し、『劇場で観るべき香港映画だ』という熱量の高い反応が多く寄せられました。その後、口コミやSNS投稿を通じて“語りたくなる映画”として注目され、Xを中心にバイラル的にファンアートやキャラ語りが拡散。登場人物同士の関係性や情感の強さに共鳴した20~30代の女性層にも強く支持され、リピーターが急増しました」。

 アクション映画としての完成度に加え、「守るべき場所」「義理と絆」「師弟・兄弟のつながり」といった情感豊かな人間ドラマが丁寧に描かれており、それが多くの観客の琴線に触れた。誰かのために戦う、その姿勢や喪失への悲しみが共感を呼び、“誰かと語りたくなる映画”として機能。特にSNSでは、観客自身が推しキャラクターや印象的なせりふ・シーンを語り、自発的に熱量を発信していたことが、作品の広がりを後押しした。

 さらに、作品の舞台である“九龍城砦”そのものへの関心も大きく高まった。再現されたセットのスケールや“失われた街”としての象徴性が特に若い層に新鮮に映り、関連書籍や歴史的背景への関心が高まった。「九龍城砦とは何だったのか?」という検索や言及も増加。映画とともに“街そのもの”が語られる現象となり、世界観全体がバイラル化していった。

 若年層の中には「初めて観た香港映画が本作だった」という声も多く、香港映画の魅力を再発見する入り口となった実感がある。従来の香港映画ファンはもちろん、現代的なスケール感やキャラクター性を通じて、若い世代がアジア映画に新たな価値を見出す契機となったようだ。

 今月2日から4日まで開催される「大阪コミコン2025」には、阿七(アチャッ)役を演じ、日本でも絶大な人気を集めたジョゼフ・ラウ氏が“特別店長”として来場予定。また、香港で開催された公式展示で販売された限定グッズや、日本国内で展開中の公式グッズ(Tシャツやアクリルキーホルダー、ステッカーなど)も発売されるなど、今後も引き続き注目を集めそうだ。

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