俳優のムロツヨシと佐藤二朗がW主演を務める、福田雄一監督の最新作『新解釈・幕末伝』が、12月19日に劇場公開されることが発表された(配給:東宝)。“福田組の顔”とも言える2人が、ついにダブル主演として並び立つ。ティザービジュアルには、幕末の英雄に扮した2人の凛々しい姿が描かれ、コメディの印象を覆すほどの重厚感と存在感を放っている。

 福田監督にとって劇場映画20作目となる本作は、原点回帰のような“新解釈”の歴史劇。およそ150年前、江戸時代末期から明治維新にかけての「幕末」と呼ばれる時代は、ペリー来航、尊王攘夷、新選組、薩長同盟など歴史的事件が相次いだ激動の時代。小説や漫画、ゲーム、大河ドラマなどでも繰り返し描かれ、多くのファンを魅了してきた。

 しかし、誰もが知っているはずの「幕末」でも、実際に説明しようとすると意外と難しい――。そんな“知っているようで知らない幕末”を、福田監督が独自の視点で描く。革命の志士・坂本龍馬をムロ、幕末の英雄・西郷隆盛を佐藤が演じる。

 悲喜こもごもの演技で多くの作品に存在感を残してきたムロは、「いつもの福田組の表現を封印する決断をした二朗さんはとんでもなく格好良く。いつもの福田組の表現を全面に出す決断をした私と。新しい2人のカタチができていく、撮影の日々でした」と振り返る。

 佐藤は、「数多の名優が数多の名作で演じた歴史に名を刻む大人物『西郷隆盛』を演じます。それだけで震える思いですが、震えついでにさらに震えようと思い、そして作品名の『新解釈』という部分にあやかって、この歴史に名を刻む大人物を、僕なりに『解釈』して演じました。もうムチャクチャ震えます。でも、震えながら揺れながら、これからも役者をやっていくのだと思います。本作は僕にとって、そんな作品です」と熱いコメントを寄せた。

 ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズを筆頭に、福田監督の映画デビュー作品『大洗にも星はふるなり』(2009年)、『HK/変態仮面』(13年)、『斉木楠雄のΨ難』(17年)、『50回目のファーストキス』(18年)、『ヲタクに恋は難しい』(20年)、『聖☆おにいさんTHE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』(24年)など、映画だけでも19作品に出演し、型破りなコメディ作品から、人気少年漫画の実写映画まで幅広く福田雄一監督作品を支え続けてきたムロと佐藤。

 福田監督は2人との関係について、「僕たち3人は決して馴れ合いの関係ではありません。出会ってから、ずっと、この2人には『あー、福田、つまらなくなったな』って思われないように頑張ってきたし、2人も僕を笑わせようと勝負してきてくれたのだと思います。この作品はそれが結実した形です」と、2人への揺るぎない信頼と作品への自信をにじませた。

 公開に先立ち、ティザー映像も解禁。坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、桂小五郎など、幕末の英雄たちが登場し、重厚な雰囲気が漂う映像……かと思いきや、一転して“福田節”全開のユーモアあふれる展開へ。威厳と笑いが交錯する“クセになる幕末コメディ”が、今冬スクリーンに登場する。

■坂本龍馬役:ムロツヨシのコメント(全文)

あの時、人に会えず、人と直接話せず、そんな時に決めたことがありました。
マスクを取って、やっと福田雄一とご飯を食べた時に伝えました。
「僕で一本つくってくれませんか?」
福田さんはすぐに答えてくれました。
「つくるよ」
そのあと、福田さんはこうも言いました。
「二朗さんと2人の主演でつくろう」
私も答えました。
「なんと素敵なカタチだ」
すぐに二朗さんに会いに行きました。
二朗さんの行きつけの居酒屋で2人きり。
真っ直ぐに伝えました。
「2人で福田組を背負わせてもらえませんか?」
二朗さんは丁寧に答えてくれました。
「2人で主演か。それならやろう」
今日ここでご報告できることを嬉しく思います。
いつもの福田組の表現を封印する決断をした二朗さんはとんでもなく格好良く。
いつもの福田組の表現を全面に出す決断をした私と。新しい2人のカタチができていく、撮影の日々。
あの男も参戦してくれました。あの方もあの人も参戦。痺れる時間でした。
このキャスト、スタッフで福田組映画作品、記念すべき20作目。
あの時に決めたことを観てもらえる日が近づいてることに心から感謝です。

■西郷隆盛役:佐藤二朗のコメント(全文)

今回が福田監督の劇場公開映画20作目だそうです。
そして、僕が福田作品に関わってから、16年の歳月が過ぎたようです。驚きます。アッという間です。
アッという間すぎて、「俺、なにも福田作品に貢献できてないんじゃないか」と不安になります。本当に。
今まで数多の名優が数多の名作で演じた歴史に名を刻む大人物「西郷隆盛」を今回、演じます。
それだけで震える思いですが、震えついでにさらに震えようと思い、
そして作品名の「新解釈」という部分にあやかって、この歴史に名を刻む大人物を、僕なりに「解釈」して演じました。震えます。もうムチャクチャ震えます。
でも、震えながら揺れながら、これからも役者をやっていくのだと思います。
本作は僕にとって、そんな作品です。

■脚本・監督:福田雄一のコメント(全文)

 福田組の風神雷神とか呼ばれてるムロくんと二朗さんですが、僕たち3人は決して馴れ合いの関係ではありません。普段、食事とかしないし、つか、二朗さんに至っては出会ってから今まで1度しかサシで食事したことないです。僕らは撮影の時にだけ会って、その時に、お互いのカードを見せ合う勝負をする関係です。ただ、ヨシヒコ以来、この2人とがっぷり四つで勝負してないなと感じる昨今でした。そろそろ貯めてきたカードをバチバチにぶつけ合いたいと思いました。結果、僕は、喜劇役者という人間の力をまざまざと見せつけられました。出会ってから、ずっと、この2人には「あー、福田、つまらなくなったな」って思われないように頑張ってきたし、2人も僕を笑わせようと勝負してきてくれたのだと思います。この作品はそれが結実した形です。ま、通過点ですけど。

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