表参道「THE GALLERY OMOTESANDO」で開催される同展は、「漫画家になりたかった音楽家」を自認する泉谷の隠れた画家としての一面を披露し、デビュー以来「独自にサイバーパンクの世界観をイメージして描いてきた」作品がそろう。泉谷は「オレにとっては、サイバーパンクを描くのも音楽活動も同じこと」と言う。
伝説のギャル雑誌「egg」のクリエイティブディレクターを務めたアーティスト・キュレーター、DJの米原康正氏がプロデュースを手がける。米原氏は「テクノロジーが人間性を侵食し、システムが個を抑圧するこの時代に、泉谷しげるのアートが放つ『生の叫び』は、かってないほど強いリアリティを持っている。泉谷の絵には、計算された美しさも、なめらかな秩序もない。あるのは剥き出しの衝動と、壊れかけた世界に対する苛烈なまでの肯定だ」と評価する。
泉谷は今回の個展を「単なる絵画展覧会とは違う」と言い切る。「オレにとっては、現代社会への強烈なメッセージだってこと。いわゆるAI時代の到来や監視社会の進行など、かつてのSFが描いてきたディストピアが現実味を帯びていく今、オレなりにアートで問いたかった」とアピール。
個展に合わせて、泉谷にとって初の描き下ろしとなるサイバーパンク漫画『ローリングサンダー』も発売された。個展で展示されている泉谷のアートは購入も可能。期間中の週末には、スペシャル・イベントのほか、泉谷と米原氏とのトーク・イベントも予定されている。