午後6時30分、東京ドームの客電が落ちると約5万人の拍手が一斉に湧き上がり、ライブはスタートした。サポート陣に続き、野沢秀行、関口和之、原 由子、松田 弘、そして最後に桑田佳祐が登場。ギターを肩に掛け、丁寧にお辞儀をしながらマイクの前に立ち、軽くギターを鳴らしたあとに歌い出したのは「逢いたさ見たさ 病めるMy Mind」。1982年発表の『NUDEMAN』収録曲で、もどかしい恋心を描いたこの曲が、長年のファンの心を揺さぶり、新世代リスナーをも惹きつける。アウトロでは桑田が「THANK YOU SO MUCH!」とツアータイトルを叫び、野沢のカウベルが高鳴ると「ジャンヌ・ダルクによろしく」へ。真紅の幕が割れ、銀テープと照明が会場を華やかに彩り、ドームは一気に熱狂の渦へと変わった。
「東京ドームに帰ってきました! 千秋楽でうれしいような寂しいような気持ちです。延長したい!」と桑田の軽妙なあいさつに、会場は笑いに包まれた。そこから「せつない胸に風が吹いてた」「愛する女性(ひと)とのすれ違い」といった往年の名曲が畳みかけられ、会場にはノスタルジーと高揚感が同時に広がる。波音と青い照明が広がり、シンセが海面のたゆたいを描き出すと「海」へ。続く「ラチエン通りのシスター」では切ない歌声が響き、「神の島遥か国」では琉球衣装のダンサーと客席の腕の振りが会場を夏の楽園へと誘った。
前半のハイライトは「愛の言霊~Spiritual Message~」。
舞台はアコースティックセットに切り替わり、1stアルバム『熱い胸さわぎ』から「別れ話は最後に」をボサノバ調で披露。桑田のソロ弾き語りから始まった「ニッポンのヒール」では、軽快なリズムとともにメンバー紹介が行われ、長年続くバンドの絆が感じられた。幻の未発表曲「悲しみはブギの彼方に」では、メンバー全員が顔を見合わせながら音を重ね、若き日のサザンの姿を思わせた。ここから「ミツコとカンジ」「夢の宇宙旅行」へのメドレーが続き、ドームは宇宙空間さながらにレーザーと照明が躍る幻想的な空間に。さらに「恋のブギウギナイト」とEDMを取り入れたナンバーで会場はダンスフロアと化し、「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」「マチルダBABY」「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」とヒット曲の連続で観客を熱狂させた。
本編最後は「マンピーのG★SPOT」で、東京ドームはまさに巨大なカーニバルとなった。
アンコールは「Relay~杜の詩」で静かに再開し、「東京VICTORY」では全員が腕につけた“THANK YOU SO MUCHライト”を一斉に灯し、ドームが光の海に変わった。
歌詞とメロディー、桑田の声、そして各楽器の音色とフレーズ、どれをとっても日本の音楽シーン最高峰のバンドだと改めて実感させられるステージだった。ライブ中、サポートメンバーの演奏シーンがスクリーンに映し出される場面も多く、サポートミュージシャンや裏方スタッフを含めた“チーム・サザンオールスターズ”全体で作り上げたライブであることも改めて伝わってくる充実のライブとなった。
最後に桑田は「(デビューから)47年、ありがとう!これからもみなさんに楽しんでいただけるように、サザンオールスターズ、頑張ります!」とコメント。今後のさらなる活躍を誓い、観客とともに笑顔でフィナーレを迎えた。