実行委員長の亀田誠治は「音楽の感動体験を親・子・孫三世代で心ゆくまで楽しんでほしい」と開会の挨拶を述べ、自由で豊かな時間を楽しんでほしいと呼びかけた。開会宣言後のトップバッターには、亀田と武部聡志による「武亀セッションワークショップ~一緒に歌ってみませんか?2025~」が行われ、スペシャルゲストに一青窈が登場。観客から選ばれた歌い手たちが共演し、音楽祭の幕を開けた。
今年は計60組もの豪華アーティストが出演。初日は、imaseのアップテンポな「Happy Order?」でスタート。雨模様を吹き飛ばすステージに続き、日比谷ブロードウェイ(井上芳雄、島田歌穂、中川晃教、田代万里生、遥海)が「雨が止んだら」などを披露し、優しいハーモニーで会場を包み込んだ。そして、小沢健二が32年ぶりに野音のステージに立ち、「アルペジオ」「ラブリー」など全10曲をノンストップで熱演。観客からは「オザケン!」と愛称で声がかかり、ステージは最高潮に盛り上がった。
2日目の前半は、清塚信也がショパンメドレーなどを演奏し、野音を優雅な音色で包んだ。新妻聖子はYOYOKAのドラムとともに「アンパンマンのマーチ」を力強く歌い上げ、岡本知高はその圧倒的な歌声で観客を魅了。岸谷香は「ダイアモンド」などのヒット曲で会場を盛り上げ、KREVAは「恩返し」を手話と共に12年ぶりに披露。
後半は、GLIM SPANKY with YOYOKAの「怒りをくれよ」で幕開け。Eru Matsumotoが米ロサンゼルスから来日し、グラミー賞受賞アルバムから特別アレンジを披露。真心ブラザーズは「ENDLESS SUMMER NUDE」で会場を夏気分に染め、氷川きよし+KIINA.は「きよしのズンドコ節」や「赤いスイートピー」で盛り上げた。そして大トリには甲本ヒロトが登場。「よろしくお願いしまーす!」と叫ぶと観客は総立ちに。「日比谷音楽祭2025、今の野音に笑顔でさよならを言いたい」という亀田とともに選んだ『涙くんさよなら』を披露し、想いの通り会場は笑顔と熱気に包まれ、幕を下ろした。
日比谷音楽祭は、メインステージの野音以外にも多彩な会場で展開された。芝庭広場「ONIWA」では、観客が芝生に寝転び音楽を楽しむ空間が広がり、「武亀セッション」では一青がステージの下で観客とハイタッチするシーンも。健康広場「HIDAMARI」では藤原さくらや半崎美子(崎=たつさき)が出演し、会場一体となった手拍子が響いた。サテライト会場の東京ミッドタウン日比谷では、買い物客も引き寄せる賑わいを見せた。
また、図書文化館「MANABI」では音楽業界の裏側を語るディレクターセッションが開かれ、参加者にとって学びの時間となった。
今年もクラウドファンディング支援者数は累計1万人を突破し、来場者数は2日間で合計14.5万人に達した。日比谷公園改修にともない、来年以降の開催を不安視する声もあったが、亀田から『日比谷音楽祭2026』の開催が発表された。次回は引き続き日比谷公園と東京ミッドタウン日比谷を本拠地とし、さらに東京国際フォーラム ホールAを代替会場に加えることが決定。亀田は「野外と屋内のいいところをかけ合わせ、変わりゆく時代の中で音楽のある豊かな生活を提案していきます」と抱負を語り、観客の期待感を高めた。
『日比谷音楽祭2025』は、親子三世代が集い、音楽を中心に多彩な文化と触れ合える場を作り上げ、2日間の盛況のうちに幕を下ろした。