午後6時、My Chemical Romance「Welcome to the Black Parade」が響く中、観客の熱気は最高潮に。オープニング映像からメンバーが登場すると、7万人の大歓声がスタジアムを包み込んだ。
1曲目はテレビアニメ『アオのハコ』のオープニング主題歌「Same Blue」。青空と入道雲が映し出された巨大LEDスクリーンのもと、力強く爽快なパフォーマンスで幕を開けた。続く「Universe」ではホーンセクションとコーラスが加わり、スタジアムにグルーヴが広がる。「ミックスナッツ」では、楢崎誠(※崎=たつさき)がベースを置いてステージを走り回り、軽快なダンスで会場を沸かせた。
MCでは藤原聡が「今日はネガティブなものが何ひとつない素晴らしい日にしたい!」と呼びかけ、観客を優しく包み込む。「パラボラ」ではバロック調のピアノとリズムが重なり、映像とともに情景を描写。「Laughter」では、土砂降りの夜から朝焼けへと移り変わる映像とともに、歌詞の一言一言を丁寧に届けた。
ステージ演出も壮観だった。「イエスタデイ」では青く光る噴水が音楽とシンクロし、「Subtitle」では氷とオーロラを想起させる幻想的な世界観を創出。そして「FIRE GROUND」では炎と真紅のライト、江戸の火事をモチーフにした浮世絵風映像で観客の視線を奪った。
ライブ後半には「お祭りゾーン」として「ブラザーズ」「ノーダウト」「Cry Baby」「ホワイトノイズ」などを連投。「さあみなさんラストスパートです!」の一声で「宿命」に突入すると、手拍子とコーラスが会場を包み込む。
中盤、藤原は10年前の横浜のショッピングモールでのライブを振り返り、「無駄なライブなんてひとつもなかった」と語った。そして「TATTOO」「Chessboard」「50%」と演奏を続け、本編を締めくくった。
アンコールでは「I LOVE…」「異端なスター」「SOULSOUP」を披露。「これからも、いい音楽を作って、あなたのそばにいられるように頑張ります」と語り、最後に「Stand By You」を演奏。打ち上げ花火が夜空を彩り、スタジアムは感動のフィナーレを迎えた。
インディーズデビューから10年。Official髭男dismは、スタジアムの頂に立ちながらも、音楽の原点を見失うことなく、聴く人ひとりひとりの心に寄り添い続けている。7万人の記憶に刻まれたこの夜は、バンドの進化と、変わらぬ誠実さを証明する一夜となった。
このファイナル公演の模様を収めたライブ映像『劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025』が、10月17日より全国47都道府県で上映されることも決定している。