『響け!ユーフォニアム』で知られる作家・武田綾乃の同名小説を、俳優の南沙良主演で映画化した『愛されなくても別に』が、7月4日に公開される。このたび、公開を前に本作の舞台裏を収めたメイキング映像が解禁された。

 学生時代に卒業製作として制作した『溶ける』で、「第70回カンヌ国際映画祭」シネフォンダシオン部門正式出品を果たした井樫彩が監督。映像冒頭では、南演じる主人公・宮田陽彩(ひいろ)と、本田望結扮する木村水宝石(あくあ)が激しくぶつかり合う緊迫のシーンが映し出される。監督の指示で、水宝石が陽彩を車の中から力強く引きずり出すという大胆な演出に、南も思わず驚いた様子を見せるが、直後には両者とも真剣な表情で対峙し、息を呑むような迫真の演技を披露している。

 さらに、陽彩と基修介(IMP.)演じる堀口順平が登場するコンビニのシーンでは、思わず南が吹き出す場面も収録されており、緊張感だけでなく、現場の和やかな雰囲気が伝わってくる。

 映像後半では、水宝石とその母・木村美佐子(池津祥子)による宗教施設内での壮絶な“親子対決”の舞台裏を紹介。リハーサルの段階から火花を散らすような演技合戦が繰り広げられ、圧巻の空気を醸し出す。信者役として登場するラランド・ニシダの異色キャスティングにも注目が集まり、SNSではすでに話題を呼んでいる。

 そして映像のラストには、作品の象徴ともいえる滝のシーンが登場。南とバイト先の同級生、江永雅役の馬場ふみかが実際に滝壺へ入り、全身びしょ濡れになりながら挑んだこん身のカットが収められており、厳しい撮影環境の中での覚悟と情熱がひしひしと伝わってくる。

 キャスト陣の熱演と、張り詰めた緊張感の中に時折のぞく笑顔――。映画『愛されなくても別に』の持つ強烈な世界観と、そこに命を吹き込んだ現場の熱量を垣間見られる貴重な映像となっている。劇場公開が近づくなか、本作への期待がさらに高まっている。

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