Mrs. GREEN APPLEが2024年4月11日に配信開始した「ライラック」が、2025/5/12付オリコン週間ストリーミングランキング(集計期間:2025年4月28日~5月4日)で「53週(1年間)連続TOP3」入りという史上初、前人未到の快挙を達成した。ORICON BiZ onlineでは「ライラック」を軸に、ストリーミングシーンを席巻するMrs. GREEN APPLEの記録的ヒットをデータを使って徹底検証する。
※記録はすべて25/6/16付現在

■1位になるまでには時間を要した「ライラック」

 まずは「ライラック」が25/5/12付週間ストリーミングランキングで達成した「53週連続(1年間)連続TOP3」ロングヒットの大記録(※継続中)が、極めて異例の動きで達成されたかを振り返ってみる。

 グラフ1は、オリコン週間ストリーミングランキングで20週以上1位を獲得した、Official髭男dism「Pretender」(34週/19年4月17日配信開始)、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」(29週/24年4月11日配信開始)、Official髭男dism「Subtitle」(24週/22年10月12日配信開始)、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(23週/24年1月7日配信開始)、YOASOBI「アイドル」(22週/23年4月12日配信開始)、あいみょん「マリーゴールド」(20週/18年7月18日配信開始)の6曲と、累積再生数歴代1位記録を持つYOASOBI「夜に駆ける」(16週/19年12月15日配信開始)のストリーミング大ヒット曲7曲が、リリース週からどのように順位が推移したかを示している。25/6/16付時点でリリース週から61週目の「ライラック」に合わせ、すべて61週目までの推移で比較する。

 上記7曲のうち、リリース週に初登場1位を獲得したのは「アイドル」のみ。「ライラック」は初登場14位で、2週目には3位に上昇したものの、3週目は5位にダウン。そして、4週目の24/5/13付で記録した3位を皮切りに、1年間以上におよぶ連続TOP3入り記録が始まった。

 決してスロースタートだったわけではなく、登場2週目からずっと、大ヒットの目安と言われる週間1000万回を超す高水準を維持していた。しかし、その上をいく「Bling-Bang-Bang-Born」の23週連続(24/2/5付~7/8付)1位の大ヒットがあり、「ライラック」は24/5/20付~7/8付まで8週にわたって2位が続いた。

 ついに首位交代で「ライラック」が週間1位となったのは、登場13週目の24/7/15付(週間再生数1148.1万回)。グラフ1に示した7曲の中では、1位になるまでに最も時間を要した。そして意外にもこれが、現在ストリーミングシーンを席巻しているMrs. GREEN APPLEにとって、初の週間ストリーミングランキング1位獲得となった。

 その後の推移は驚異的なものだった。
3ヶ月半におよぶ16週連続(24/7/15付~24/10/28付)で1位をキープし、そのうち9週で週間再生数1000万回の大台を突破した。24/11/4付ではCreepy Nutsの「オトノケ -Otonoke」との首位交代で2位となり、24/11/18付からはROSE & Bruno Mars「APT.」の8週連続1位の大ヒットもあったなかで、10週(約2ヶ月)にわたってTOP3をキープした。

 そして、24年12月30日にTBS系で放送された『第66回 輝く!日本レコード大賞』で、Mrs. GREEN APPLEは「ライラック」で日本レコード大賞を受賞。前年には「ケセラセラ」で大賞に輝いたミセスは、バンドとしては史上初となる2連覇を成し遂げた。大みそかには『第75回NHK紅白歌合戦』に出場し、「ライラック」と初期の代表曲「青と夏」を披露。間口の広いギターロック2曲で、その魅力はコアファン層のみならず“お茶の間”にも爆発的に拡がった。

 この好機を逃さず、年末にはYouTubeで「ライラック」と「青と夏」のライブ映像を公開することでサブスクへの導線も作り、ライブの魅力を訴求。2本のライブ動画はいずれも1000万再生超えを記録している。

 こうした波及効果で、集計期間が年末年始を挟んだ25/1/13付(集計期間:24年12月30日~25年1月5日)週間ストリーミングランキングで、「ライラック」は11週ぶりに首位返り咲きを果たした。その後、25/4/7付まで13週連続で1位を獲得。そのうち11週は週間1000万回再生超えという驚異的な後伸びをみせた。

 グラフ1の中で、2週以上のインターバルがあっての返り咲き1位は「ライラック」と、25/6/2付でオリコン史上初となる累積再生数10億回を突破した「夜に駆ける」(累積10億501.2万回=25/6/16付現在)の2曲のみだった。


■ハイレベルな安定型+驚異の後伸びで記録的ヒットに

 グラフ2では対象曲を変え、累積再生数歴代1位「夜に駆ける」、2位「アイドル」、3位「ドライフラワー」(優里)、4位「Dynamite」(BTS)、5位「Pretender」の5作品と、2024年の年間再生数1位「Bling-Bang-Bang-Born」および、同2位「ライラック」のリリース週~61週目までの週間再生数推移を示したもの。スタートダッシュ型、安定型、後伸び型と、それぞれの特性がみえる。

 「夜に駆ける」は安定型+後伸び型。登場11週目に週間600万回台に乗せると、38週目までは500~600万回台をキープ。42週目から800万回台に乗せ、45週目~47週目まで3週連続で週間1000万回を突破する後伸びを見せた。

 「ライラック」はハイレベルな安定型と後伸び型のミックス。登場14週目に記録した週間再生数1235.7万回で最初のピークを迎えたが、その後も週間800万回~1000万回前後の驚異的な高水準をキープした。

 登場38週目の24年末、25/1/6付(集計期間:24年12月23日~29日)で週間再生数を再び1000万回の大台(1051.2万回)に乗せると、年越しタイミングの25/1/13付(同:24年12月30日~25年1月5日)では同曲最高の週間1351.0万回(前週比28.5%増)を記録。翌25/1/20付(同:25年1月6日~12日)ではさらに2割増しの1624.3万回と自己記録を更新し、年末から1.5倍もの爆発的な後伸びを見せた。

 グラフ2に入らないほどの超後伸び型としては、Vaundyの「怪獣の花唄」(2020年5月11日配信開始)のような例もある。2022年の『NHK紅白歌合戦』初出場をきっかけに、初ランクインから約1年11ヶ月後の102週目(23/1/16付)で週間3位(それまでの最高位は週間29位)にジャンプアップした。105週目には週間再生数840.1万回のピークを迎え、いまや再生数歴代7位の7億7848.7万回を記録している。


 しかし、「ライラック」のように、配信開始初期に週間再生数1000万台を超えた楽曲が、のちに最初のピークを上回る前例はなく、週間再生数1500万回を超すレベルで後伸びした史上初の事例となった。また、登場50週以降に週間再生数1000万回を突破(50週目=1065.3万回、51週目=1003.6万回、60週目=1006.9万回)したのも史上初。週間再生数1000万回超えの通算週数33週(25/6/16付現在)は歴代1位記録となっている。

 こうして「ライラック」は、24/5/13付~25/5/12付まで1年間にもおよぶ53週連続TOP3入りするオリコンストリーミングランキング史上初の快挙を達成し、金字塔を打ち立てた。この記録は25/6/16付現在、58週連続(継続中)に更新している。

■ミセス沼の入口となった「ライラック」

 記録更新ラッシュのMrs. GREEN APPLEだが、「ライラック」が“ミセス沼”への入口になったことは、毎週のように1位を獲得しているオリコン週間カラオケランキングからも明らか。また、ORICON BiZ onlineが今年2月にインターネット調査を実施した「2024年に好きになったアーティストに関する調査」(n=4949人)の結果にも表れていた。

 「2024年に好きになったアーティストが『いる』」と回答した2058人のうち、Mrs. GREEN APPLEと答えたのは最多の248人。属性を詳しくみていくと、40代女性が75人(30%)と最も多く、50代女性72人(29%)、30代女性32人(13%)、50代男性29人(12%)と続いた。もともとのコアファン層の若年層に加えて、新たに40~50代を中心としたファンを増やしたことが見て取れる。

 Mrs. GREEN APPLEの楽曲で「2024年に最もたくさん聴いた楽曲」の問いで最も多かったのは「ライラック」の118人(47.6%)で約半数を占め、「ケセラセラ」48人(19.6%)、「青と夏」15人(6.0%)、「僕のこと」14人(5.6%)、「ダンスホール」12人(4.8%)と続いた。ミセスを好きになったきっかけでも「ライラックがとてもキャッチーで良い曲だったので」(50代女性/東京都)、「ライラックがいい曲だったから」(40代男性/愛知県)、「ライラックという歌が気に入った」(50代女性/東京都)と、多くの新規ファンの心をとらえた。


 また、新たにMrs. GREEN APPLEのファンになった248人は、アーティストを問わず2024年に音楽ライブ・コンサートに参加した回数は0回:58.9%、1回:18.1%と大半が消極的だった。しかし、今後のMrs. GREEN APPLEの音楽ライブ・コンサートへの参加意欲の問いには、「すでに参加した・チケットを購入した」が7人、「今後参加してみたい」が198人と、前向きな回答が約8割(79.8%)を占めた。中には「生で大森さんの超HIGH Falsettoを聴いてみたい(ライブに行ってみたい)と思い、ファンクラブにも入ってしまいました」(50代男性/富山県)といった回答もあり、ハマり度の深さも見受けられた。

■デビュー10周年、ビッグイベント目白押しでさらなる高みへ

 配信開始から1年を超えた「ライラック」が驚異的な再生数を維持するなか、4月5日配信開始の「クスシキ」、5月2日配信開始の「天国」の新曲2曲がそれぞれ週間再生数1位を獲得した。25/5/19付週間ストリーミングランキングでは1位「天国」、2位「クスシキ」、3位「ライラック」と1~3位を独占。翌5/26付では1位「クスシキ」、2位「ライラック」、3位「天国」と順位の入れ替わりはあったものの、2週連続でTOP3を独占した。同一アーティストによる2週連続TOP3独占は、あいみょん、Official髭男dism、BTS、Ado(達成順)に続き、2年9ヶ月ぶり、史上5組目の達成となった。

 6月4日には早くも今年4曲目となる新曲「breakfast」を配信リリース。25/6/16付では1位「クスシキ」、2位「ライラック」、3位「breakfast」の順でTOP3を独占。通算3回以上のTOP3独占は、あいみょん、Official髭男dism、Ado(達成順)に続き、史上4組目の快挙となった。

 「ライラック」の累積再生数は、配信開始から1年2ヶ月にして歴代18位の6億2654.6万回。累積再生数6億回突破は「青と夏」「ダンスホール」「ケセラセラ」に続いて4作目で、登場59週目での達成は、「ケセラセラ」の105週を大幅に更新し自身最速となった。


 アーティスト別6億回再生突破作品数4作は、YOASOBIと並んで歴代1位タイ記録。「点描の唄(feat.井上苑子)」の累積再生数(5億9752.6万回)も6億回達成目前に迫っている(※注:最新6/23付で6億回を達成し、6億回再生突破作品数5作で歴代単独1位に)。ちなみに、Mrs. GREEN APPLEの累積5億回再生突破作品数は7曲、同4億回再生突破は8曲、同3億回再生突破は10曲、同2億回再生突破は15曲と、いずれの節目でも歴代1位記録を保持している。

 Mrs. GREEN APPLEの全楽曲の作詞・作曲しているフロントマンの大森元貴は、楽曲制作と並行し、timeleszの菊池風磨とW主演を務めた映画『#真相をお話しします』で俳優デビューを果たしている。撮影期間中には主題歌として、前出の「天国」を書き下ろし、ラストのサビからアウトロにかけての8回もの転調も大きな話題を集めた。

 現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』への出演も決定。5月28日には4年ぶりとなるソロ3rdデジタルシングル「絵画」を、6月4日には今年4作目となるミセスのデジタルシングル「breakfast」を配信リリースした。リスナーが“鬼リピ”“エンリピ”したくなるようなシングル曲を次々と投入し、話題を途切れさせない多作とバイタリティーには驚かされるばかりだが、7月8日にはいよいよデビュー10周年の大きな節目を迎える。

 デビュー記念日には、ストリーミング大ヒット曲満載のベストアルバム『10』のリリースを控える。Mrs. GREEN APPLEのCDリリースは、アルバム『ANTENNA』(23年7月5日発売)以来、実に2年ぶりとなる。今作には、1年8ヶ月の活動休止を経て2022年3月からスタートさせた「フェーズ2」幕開けの楽曲「ニュー・マイ・ノーマル」から新曲「breakfast」まで時系列に沿って収録。さらに、現在では入手困難な1stミニアルバム『Introduction』(14年7月5日発売)のシークレットトラックだった「慶びの種」の新録バージョンも盛り込まれる。


 配信よりも高音質なCDを気軽に体感してほしいとのメンバーの想いが込められた、安価なMAGICAL PRICE盤(税込1980円)から、グッズセット付き「10&“Harmony”COMPLETE BOX」(税込2万2000円)まで全6形態を展開。デジタルのメガヒットをフィジカルにもつなげられるのか注目が集まる。

 本作を携え、7月26・27日には、ミセス史上最大規模となる2日間で10万人動員予定のライブを横浜・山下ふ頭で開催。10月からは自身初にして55万人を動員予定、東京ドーム4days(12月15・16・19・20日)公演を含む5大ドームツアー『DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”』の開催が決まっており、ビッグイベントが目白押し。“今、最も聴かれている”Mrs. GREEN APPLEは、さらなる高みへと向かう。

■MGA MAGICAL 10 YEARS アニバーサリーベストアルバム『10』TRACK LIST

【CD収録内容】
01. ニュー・マイ・ノーマル
02. ダンスホール
03. Soranji
04. 私は最強
05. ケセラセラ
06. Magic
07. ANTENNA
08. ナハトムジーク
09. ライラック
10. Dear
11. コロンブス
12. アポロドロス
13. familie
14. ビターバカンス
15. ダーリン
16. クスシキ
17. 天国
18. breakfast
19. 慶びの種

【初回限定盤 映像収録内容】
▼Studio Session Live #4
・StaRt
・リスキーゲーム
・L.P
・VIP
・ゼンマイ
・道徳と皿
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