HYDEによるワールドツアー『HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR』が21日、東京・Zepp Hanedaで初日を迎えた。昨年リリースされた最新アルバム『HYDE [INSIDE]』を携え、国内外を巡った2024年のツアーに続く形で開催される今回のワールドツアーは、日本を皮切りに中南米、アジア、ヨーロッパとエリアをさらに拡大。
約5ヶ月間にわたる自身最大規模のツアーとなる。

 開演となり幕が上がると、サーカス小屋を思わせる装飾と、中央にそびえる演説台が視界に広がる。演説台上に登場したHYDEは黒いフードとハーフマスクを身につけ、「LET IT OUT」でライブの口火を切った。荘厳な低音ボイスで観客を煽ると、フロアの熱量は一気に加速。国内での単独公演は昨年10月以来となるが、空白を感じさせない一体感に包まれた。

 序盤から「AFTER LIGHT」「I GOT 666」「DEFEAT」と攻撃的な楽曲を連投。ジャジーな導入から一転、激情へと展開する「DEFEAT」では自らマスクを外し、喝采を浴びた。スピーカーに足をかけてのパフォーマンスやクラウドサーファーを迎え撃つような拡声器での歌唱、さらには上半身裸の状態で血糊をかぶってのシャウトなど、息つく間もないステージが続いた。

 中盤にはピアノのインタールードを挟み、テレビアニメ『鬼滅の刃』柱稽古編のエンディング主題歌の「永久 -トコシエ-」をセルフカバーで披露。hico(キーボード)の繊細な演奏に支えられたこの楽曲は、静謐(せいひつ)さのなかに情熱を内包したバンドアンサンブルで新たな表情を見せた。

 後半に入ると、「6or9」で観客に一斉ジャンプを促し、「SOCIAL VIRUS」ではさらなる混沌を呼び込む。「MIDNIGHT CELEBRATION II」ではついにHYDEが血糊をかぶり、狂騒のクライマックスを演出。
続く「LAST SONG」では打って変わって静かなピアノの旋律とともに、切実なボーカルを響かせた。紙吹雪が舞うなか、血糊に濡れた姿で膝をつき、激情を表現する姿に、観客は息を呑んで見入った。

 アンコールではHYDEが姿を消し、バンドメンバーのセッションが始まる。突如、2階席にHYDEが現れ、「PANDORA」を歌いながら水鉄砲を放つというサプライズで会場の熱狂を再燃させた。再びステージに戻ったHYDEは、ベースの新メンバー・mikiを紹介し、バンドメンバーへの信頼とツアーへの意気込みを語った。

 終盤にはテレビアニメ『鬼滅の刃』のオープニング主題歌「夢幻」(MY FIRST STORY × HYDE名義)を披露。最後は「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」でフィナーレを迎えた。世界を見据えた演出と構成、そして全身全霊のパフォーマンスで魅せた初日公演は、HYDEのライブアーティストとしての真骨頂を存分に体現する内容だった。
編集部おすすめ