6月7日の沖縄プレミアを皮切りに始まった映画『宝島』の全国キャラバン。主演の妻夫木聡は6月29日、第5弾として長野県松本市を訪問。
松本シネマライツでの先行有料上映舞台あいさつに大友啓史監督とともに登壇し、観客への名刺配布&お見送りを行った後、ORICON NEWSの取材に応じた。

 前日の28日には、富山県富山市のTOHOシネマズ ファボーレ富山で舞台あいさつを実施。妻夫木の初主演映画『ウォーターボーイズ』(2001年)で、動員数全国2位という大記録を樹立した映画館・ファボーレ東宝(現・TOHO シネマズ ファボーレ富山)の当時の支配人と、“思い出の地”で24年ぶりとなる感動の再会を果たした。

 「この2日間は本当に怒とうでした」と語りつつも、充実した表情を見せた妻夫木。全国キャラバンを始めて1ヶ月。地域ごとの観客の反応の違いを改めて実感したという。

 「松本の皆さんからはとても繊細な印象を受けました。『宝島』という作品が持つ熱量をすごく冷静に受け止め、芯を食った感想を伝えてくれました。本当にうれしかったです。人の感じ方は千差万別ですが、地域によってもいろいろ違うんだなと改めて感じました」

 映画そのものへの考え方にも変化があったという。

 「映画は“観てもらって初めて完成するもの”だとずっと思ってきました。でも最近は、観てもらったあとも“育っていく”ものなんだと感じています。
観客の反応で成長して、いろんな顔を見せてくれる。各地の文化や人々が『宝島』をどう受け止めるかを聞くことで、自分たちが逆に多くをもらっている気がするんです。だからこそ、作品の輪がどんどん広がっていくのがうれしいです」

 長野県には特別な親しみがあるといい、「軽井沢が大好きで年に一度は必ず来ていますし、松本も『さよなら、クロ』(2003年)の撮影で長く滞在して以来、思い出深い場所です」と語る。

 「今日はお昼にそばをいただいたんですが、本当においしかったです。『ウォーターボーイズ』のときに全国を回って、映画が観客一人ひとりのものになっていくのを実感しました。その感覚をもう一度味わいたくて全国キャラバンを始めたんですが、景色を見たり食べ物を味わったりして“その土地を知る”楽しさも改めて大事なことだと感じました」

 また、最近の出来事として、今年2月に亡くなった芸能事務所アルファエージェンシー代表の万代博実さんのお別れ会に出席し、『さよなら、クロ』で共演した伊藤歩や、当時製作を担当した元シネカノンの代表・李鳳宇氏と再会したことを明かした。「松本で撮影していた当時の話をして、その数日後に松本に来ている。不思議な縁を感じます。『宝島』の全国キャラバンでは、何か見えない力に導かれているような気がするんです」。

 週末ごとに大友監督とキャラバンを共にする中で、関係性も深まったという。

 「“夫婦漫才”みたいな瞬間もあって、家族でも友人でもない、不思議な愛情が生まれています。撮影中は役として全力で生きていたので、こうして振り返る時間を、役ではなく妻夫木聡として監督と一緒に過ごせるのは貴重で楽しいです」

 全国キャラバンはまだ続く。
7月4日・5日は大阪を訪問。4日に実施される舞台あいさつには、共演した窪田正孝も登壇予定だ。「大阪は多感な人が多いイメージがあるので、『宝島』の熱い想いをどう受け止めてもらえるかすごく楽しみです」と話していた。

 映画『宝島』(9月19日公開)は、真藤順丈の直木賞受賞作を原作に、大友監督が二度の撮影延期を乗り越えて完成させた壮大なエンターテインメント超大作。アメリカ統治下の沖縄を舞台に、米軍基地から物資を奪い住民に分け与える“戦果アギャー”と呼ばれた若者たちの20年にわたる物語を描く。

 基地へ忍び込んだある夜、リーダーとしてみんなを引っ張ってきたオン(永山瑛太)が突然消息を絶つ。オンの親友グスク(妻夫木聡)、恋人のヤマコ(広瀬すず)、弟のレイ(窪田正孝)の3人はやがて、警察官、小学校の先生、ヤクザになり、それぞれの想いを胸に、オンの失踪の謎を追う。3人が20年をかけてたどり着く真実とは――。
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