会場のスクリーンにはレーベルの象徴であるナイアガラの滝の映像が映し出され、1976年『Niagara Triangle Vol.1』のプロモーション用に撮影されたスタジオライブ映像も上映。坂本龍一さん、伊藤銀次、駒沢裕城、上原裕らが出演した幻の映像に、客席の注目が集まった。
ライブは『NIAGARA MOON』のタイトル曲とともに開幕。井上鑑を中心とするスペシャルバンドが登場し、「Blue Valentine Day」「スピーチ・バルーン」などを演奏。『EACH TIME』からは「夏のペーパーバック」「恋するカレン」「恋のナックルボール」など、ナイアガラを代表する楽曲が並んだ。スタジオ録音のマルチテープから抽出したストリングス音源とバンド演奏を同期させた構成で、井上が手がけたアレンジの魅力も光った。
はっぴいえんど以来の盟友・鈴木茂がギターで参加し、「雨のウェンズデイ(インスト)」や「ガラス壜の中の船」でその存在感を発揮。井上とのやりとりでは、大滝さんとの制作時のエピソードも語られた。
バンド退場後は、50周年を祝う映像メッセージが上映された。坂崎幸之助、笑福亭鶴瓶、鈴木雅之、佐藤善雄、桑野信義らが、大滝さんとの思い出を語り、会場は温かな雰囲気に包まれた。
ライブ後半では、サプライズゲストとして野宮真貴とNight Tempoが登場。野宮は浴衣姿で「真夏の昼の夢」を披露し、Night Tempoは薬師丸ひろ子「探偵物語」、山口百恵「哀愁のコニーアイランド」、小泉今日子「怪盗ルビイ」、松田聖子「風立ちぬ」など、大瀧作品の提供曲を中心にDJプレイを展開した。
“ナイアガラの末娘”こと渡辺満里奈は、「うれしい予感」「ダンスが終わる前に」を披露。さらに川崎鷹也とともに「FUSSA STRUT」「恋はメレンゲ」をパフォーマンスし、会場を盛り上げた。「FUSSA STRUT」では〈福生行きの切符買って〉〈お守りに&ニーリモマオ〉のコール&レスポンスに加え、観客が福生から渋谷までの駅名を一斉にコールする演出も取り入れられた。1977年に行われた『ザ・ファースト・ナイアガラ・ツアー』で大滝さんが切符をばらまいた演出を再現する場面もあり、ナイアガラらしさあふれるシーンとなった。
「君は天然色」では川崎がボーカルを担当。堂々と歌い上げたが、冒頭の演奏では井上のこだわりにより、アルバム版のチューニングとカウントを忠実に再現するため、演奏をやり直す場面もあった。
ラストには大貫妙子が登場し、「蜃気楼の街」「いつも通り」を披露。50年前に発表されたシュガー・ベイブ『SONGS』からの楽曲を、凛とした歌声で歌い上げた。大滝さんに対する想いも語られ、当時の音楽への情熱が伝えられた。
フィナーレでは出演者全員がステージに集結し、「幸せな結末」を歌唱。生前の大滝さんのボーカルも交えた演出で、50周年記念ライブは大団円を迎えた。
なお、この日のライブ音源は、8月11日にJ-WAVE特別番組『J-WAVE SPECIAL Expedia EIICHI OHTAKI'S NIAGARA 50TH ODYSSEY LIVE - ON AIR』内で放送される予定となっている。