9月28日開催の『RIZIN.51』(名古屋・IGアリーナ)で、梅野源治とMMAルールで対戦する芦澤竜誠。昨年の大みそかに福田龍彌にKO負け以来、9ヶ月ぶりにリングに戻って来る。

 『超RIZIN.4』のリング上で試合が発表された際には「俺のMMAのスタイル、自分のスタイルを作れたので、楽しみにしてください!」と語り、5日後の会見でも「(梅野は)RIZINにうまくオモチャにされてるし、本人もヘラヘラしてるから、今回は普通に終わらせてやろうと思います」と改めて完勝を宣言した。

 これまでにないほどの自信をまとう芦澤は、どのように進化した戦い方で、どんな勝ちっぷりを見せてくれるのか。会見後にオリコンニュースの単独インタビューで、静かにじっくりと語ってくれた。

■「福田龍彌ともう1回やりたい。人間として好きじゃないし、マジで1番ムカつく」

――久しぶりにお会いしましたが、体が大きくなった印象を受けました。フィジカルトレーニングに取り組んでいるのでしょうか?

【芦澤】いや、フィジカルをやってるわけじゃないし体重は前よりも落ちてますけど、組みの練習をたくさんやってるから勝手に体が大きくなってる感じですね。でも、あくまで組みはサブで打撃もやってるし、今は心拍数を上げる”息上げ”が一番大事で、ここを鍛えたら接戦になったら絶対に負けないんで。梅野選手は気が強いけど俺の気の強さには絶対に勝てないから。

――梅野選手との対戦は芦澤選手の希望ですか?

【芦澤】RIZINに言われたからですね。福田選手に勝ったら一気にバンタム級トップ戦線に行けると思ったけど、そうはいかなかった。MMAデビュー戦で太田忍に負けた後はRIZINに言われたから皇治とやって、今回も負けた後だからRIZINから言われたカードをしっかりやりますよ。梅野選手は名前もあるから盛り上がるだろうし、毎回RIZINが面白いことを俺に持ってくるから1回もつまんないことを言われたことがないんで。ただ、俺がぶっ飛び過ぎてて福田とか太田とか言ってるだけで、昇侍選手も皇治選手も盛り上がるいいカードじゃないですか。今は自分の内面を見つめ直す時間にしようかなと思ってます。

――『超RIZIN.4』の福田選手と井上直樹選手のタイトルマッチはご覧になりましたか?

【芦澤】福田はパンチしかできないんだなって印象です。最後の3ラウンドの残り1秒まで冒険っていうか勝負をしないで、狩りみたいに1発で狙ってたのがわかったけど、それじゃ勝てないよねって話で。リスクを負わないとスキが出ない。福田が負けて悔しくなってそのまま会場から帰っちゃいましたね、自分に対して悔しかった。結局、福田ってあれ(パンチ)しかないじゃんって話で、俺もわかっていたけどもっと明確にわかったっていうのかな。逆に俺はそれでやられちゃったけど、初見殺しの踏み込みのパンチにやられただけだから。あんなの2度ともらわないよ、間違いなく初見殺しだけだから。本当にもう1回やりたいし、本当にアイツは人間として好きじゃない。気持ち悪いからマジで1番ムカつくんだよね。俺との試合はつまらなかったとか文句を言うんだったら、俺と試合をやらなきゃいいだろって。ひょいひょいRIZINに尻尾を振ってついて来たのはテメエだろって、マジでなんだお前って話。

――芦澤選手が勝ち続けて、いつか再戦したいと。

【芦澤】どっかでアイツを殺したいですね。あの試合が終わって今日まで「なんでアイツにやられたんだろう」って思いながらずっと練習してきたし、梅野選手との試合まで2ヶ月弱あるのでいろいろとしっかり仕上げます。福田戦はちょっとナメてました、3ラウンド完封してやろうと思ったので。やっぱ打撃しかないことは井上戦でも思った通りで、俺が1発の初見殺しに油断した。でも、それは俺の未熟な部分だなと感じてますけど、負けは失敗じゃない。悔しい思いは残るけど挑戦したから。

――スタジアムバージョンの『超RIZIN.4』や5月の東京ドームの『RIZIN男祭り』など、大きな会場で芦澤選手の試合を見たかったというファンの声も多かったです。

【芦澤】もちろん出たかったけど出るタイミングじゃなかったんで、未完成のまま出てもしょうがない。試合を急ぐことじゃなくMMAのスキルを上げることを目的に俺はやってきたので、それが9月にやっと見せられるかなって感じですね。まぁ、どんな会場でも結局は俺が1番目立つんでね。今回の名古屋大会もそうなりますよ。名古屋では去年11月に昇侍選手に勝利したし、けっこうよく行く好きな街なので、今回も普通にKOしてバチッと盛り上げますよ。

■「負けて落ち込んで、そっからどう這い上がるか。名古屋では芦澤竜誠の生き様を見せます」

――MMAファイターとして2年ほど練習されてきましたが、キック時代と比べてどんな変化や発見がありましたか?

【芦澤】キックは練習がマンネリ化してて何も面白くなかったんですよね、ぶっちゃけ。追い込みだけやって技術練習しなくても試合すりゃ勝てるって感じで。今は本当に相手の嫌がること、相手がぶっ倒れて一瞬で終わることを考えてずっと練習しています。

――次に対戦する梅野選手も立ち技のレジェンドからMMAに転向しましたが、芦澤選手にとって特別な相手でしょうか、それとも提示されただけの相手ですか?

【芦澤】提示された1試合ですね。むしろ相手のほうがおいしい話じゃないですか。MMAデビュー戦も大雅選手がMMAできないのがわかってて、テイクダウンに行って勝っただけだから俺は評価してないし、次が本当のデビュー戦ですよね。得意のヒジも特に警戒してもしょうがないし、なるようになるだけなんで。ただ、俺もヒジは強いしムエタイのルールでチャンピオンになってるし、ヒジで切ってTKO勝ちしたこともあるから。俺も得意だけどヒジって距離が短いからどうやって当てるの?まず俺の空間に入れるの?

――会見ではネクタイを巻いたスタイルでしたが、なにかイメージはあったのでしょうか?

【芦澤】30歳になったんで、オンオフをしっかり決めようかなと思って。やっぱり神聖な舞台じゃないですか、記者会見って。

――『超RIZIN.4』のリング上でまとっていた青い着物もステキでした。

【芦澤】あれは高野山の着物で、会場にいた子どもにあげちゃいました。俺が持ってても荷物になるだけだけど、子どもにあげたら宝物になるじゃないですか。子ども好きっていうか、まっすぐなヤツが好きですね。大人になると汚れるけど子どもってまっすぐだから、お前が大きくなった時にこれを着れるようになったらいいなって思ったし、それまで大事に取っておくわけじゃないですか。

――誰もがまっすぐに生きられないから、それを貫いている芦澤竜誠にみんな引かれるんだと思います。

【芦澤】俺はまっすぐしか生きられないし、ずっとそのやり方でやってきたからジムを6回も辞めてるし、誰も俺の上にはいないくて誰も俺に指示をしないから、俺は生き生きとできる。誰の言うことも聞かないで全部決めてるから、福田戦みたいに「うわ!」ってなることもあるけど、それも俺の人生だから。ファイターは勝ってナンボだけど、負けて人間はデカくなりますよ。負けなきゃ見えない世界があるし、勝って調子乗ってる時はいろんな人が寄ってくるけど、負けたら離れていって、でも離れていかない人間もいる。上に登ってるといい景色が見られても、落ちなきゃ見えない世界を見ている時に人間は成長するから。だから今回はけっこういい感じになりました。

――上からも下からもいろんな世界を見て、成長を実感しているんですね。

【芦澤】どん底を見て、そっから上がるのが俺は得意なんで。もちろん落ち込みますけど、落ち込むことも大事。現実を見て落ち込んで、そっからどう上がるのか。すべてが生き様なんで、芦澤竜誠の生き様を名古屋で見せます!

■「ラッパーの喧嘩って、すぐすぐやらないとダメ。アイツがやったことはアイツが1番わかってる」

――マッコイ斉藤さんとの番組『芦澤竜誠のぶらり喧嘩旅』では、山梨に一戸建ての家を購入されましたね。

【芦澤】500万円くらいなんで、そのへんのヤツが車を買うみたいなもんじゃないですか。格闘技を頑張っていれば、スポンサーをつけなくてもそのくらいは普通に買えるでしょって話です。

――芦澤選手は、スポンサーをつけないという独自のスタイルを貫いています。

【芦澤】最近も「1000万円でスポンサーにつかせてくれ」みたいな話もいろいろありますけど、いらないですね。そんなのやったら“下”につくじゃないですか。ウザいんですよ、「お前、金もってるだけじゃん」って。お前が人生を賭けた1000万円で俺と一緒に戦うんだったらいいけど、キャバクラでお姉ちゃんに使うような1000万円なんかいらない。だったら1億払えよって思うけど、その1億もいらない。俺は金は本当にいらないし、絶対に後からついてくるから。いまの生活で十分だし、生活水準を上げる必要もない。地元が山梨の田舎なんで、質素な方が落ち着くんで。

――有名になった格闘家は、立派な車に乗ったりすることも多いです。

【芦澤】人間の欲っていうのはきりが無いから、そっちを追っかける必要ないです。追っかけると止まらなくなるから、俺は止めてるしそれが絶対にうまくいくんです。実際の金は無いけど、目に見えない貯金をして自分の価値を上げるみたいなもんだし、そのほうがファイトに集中できて何も困らないから。あとは俺がMMAのスキルを上げるだけなんです。

――また、多くのファイターが自身のSNSで練習風景を公開していますが、芦澤選手はあまり発信してないですよね?

【芦澤】インスタにログインできなくなっちゃったんですよ、だからそのまま入らなくていいやって感じなんで、そのまま消滅すると思います。インスタグラムに知り合いがメッセージを送ってくれてると思うんですけど、ここで言っておきます。「電話番号を入れたらできるでしょ」とかいろいろ言われて全部試したけど、全部できないから別にもういいやって。俺のやってることを別に見せる必要もないし、後は俺の生き方で見せるんで。どうやって這い上がるか、どうやって登っていくか。SNSでチョロチョロやっても別に意味ないじゃないですか。だったらお前は自分の人生を生きたほうがいいよ。結局、SNSなんか良くないですよ(笑)。

――芦澤選手がいろんな所に行ってアップする写真を楽しみにしていたファンも多かったので、寂しがる声もあると思います。

【芦澤】発信するのは『喧嘩旅』だけにするし、もう番組で喧嘩もする必要もないけど、ABEMAでなんか撮影して俺の近々の情報を見せるって感じにします。

――最近のトピックスといえば、ラッパーとして「ANARCHY」という曲を突然リリースされて、話題になりました。

【芦澤】あれは曲を出したっていうより、アンサーというかあったことを歌っただけッスね。SNSで俺がおかしくなったとかクスリやったとか言われてるけど、俺がそんなことやるわけないし、何があったかわからせるために出しただけ。もう本人は逃げちゃってるし、あれを出した時点で俺の中でもう解決してるんで。あれでアンサーを返してきたらぶっ飛ばすぞっていうのも曲の中で言ってるし、アンサー出してこない時点でもう期限は過ぎてるから。ラッパーの喧嘩って、すぐすぐやらないとダメなの。もう何ヶ月も経ったでしょ?俺を相手にしないっていうのはあり得ない話だから、一緒に曲をやって仲良くして、一緒に入場もしたけど、あっちに落ち度があったから俺に触れられないだけの話だから。アイツがやったことはアイツが1番わかってるけど、俺がぶっ飛び過ぎてるから。

――相手の土俵のラップでバトルするのが、芦澤選手らしいですね。

【芦澤】公開処刑ですね、本当に。あとはもう喋ることもないし、実際に俺はあれから一言も喋ってないから。歌を聴いて、自分たちで勝手に判断してください。俺が紙食ってバッドトリップ入ってるって思うんだったら、どうぞ。じゃあ本人たちはなんで何も言ってこないのか、あとはもう勝手にしてくれって。俺は別に問題なく生きてるし、俺のスタイルは誰に何を言われても変わらないし関係ない。アイツが1番わかってるし、だから表に出られないんだし、それだけの話です。

●9月28日『RIZIN.51』(名古屋・IGアリーナ)
主なカード
・ライト級タイトルマッチ
(王者)ホベルト・サトシ・ソウザvs.(挑戦者)堀江圭功
・バンタム級
佐藤将光vs.ダニー・サバテロ
・バンタム級
梅野源治vs.芦澤竜誠
・フライ級
冨澤大智vs.平本丈
・100キロ契約
金田一孝介vs.チャートゥー・バンビロール
ほか

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