◆“メイク=女性のもの”ではない時代、自分のために変わるのは良いこと
――19歳の頃からメイクを始めたとのことですが、きっかけを教えてください。
「当時は肌荒れがひどかったのですが、『ファンデーションを塗って隠しちゃえばいいじゃん!』と思ったのがきっかけです。その頃に薄毛も気になっていて、毛量の多い友人がウィッグをかぶって隠していたのを見て、『薄毛もこれで隠しちゃえばいいじゃん!』と思い、ウィッグもほぼ同時期に始めました」
――西村さん流の三種の神器のようなものはありますか?
「ファンデーション、アイシャドウ、ウィッグは、自分の本来のコンプレックスである肌の部分を覆い隠してくれる大事なアイテムで、それがないとメイクが成立しません。最近よく使うのが、マーシュ・フィールドのファンデーションです。一番好きなアイシャドウは、Perfect Diaryです。目元の色味を変えるだけで、ガラリと雰囲気を変えることができて、使っていて楽しいです。ウィッグは、自分の神器としては最も欠かせません。髪の色から長さまで、その日の気分やTPOに合わせて好きな自分になれるものです」
――近年はメイクをする男性も増え、メンズコスメのバリエーションも豊富です。日常的に男性がスキンケアをしたり、メイクをすることが当たり前になりつつあります。こうした世の中の変化について、どのように感じていますか?
「良い流れだと感じています。以前は『メイク=女性のもの』とされる風潮が強かったのですが、いまでは男性用のコスメも増え、性別を問わずメイクを楽しむことが自然になりつつある。
◆気分やTPOに応じて“変えられる”のがメイクの魅力「“変身”を手にしたことで自分を受け入れられた」
―― 一方、近年は整形がカジュアル化しています。「整形」ではなく「メイク」の良さについて教えてください。
「整形は、ただただ自分を良くするために個人が選べるたくさんの選択肢のひとつです。合うものを選択できればとてもいいものだと思います。そのなかでメイクという選択肢は、整形と違い、気分や目的、TPOに応じて“変えられる”のが、大きな魅力です。度合いをその日その日でコントロールできる自由さがあり、始めるためのハードルが低く済むと思います」
――SNSでは、メイク後の姿に「三浦翔平に似てる」「吉沢亮に似ている」といったコメントが寄せられています。そういったコメントについて、どのように感じていますか?
「本当に恐れ多いですし、恐縮です。ですが、それはあくまで『変身後』の話だと理解しています。『自分の素材(素顔)からそこまで印象を変えられた』という意味で受け止めています。そして、メイクの可能性を感じてもらえるのは素直にうれしいです。ただ、動画を観てもらえばわかると思いますが、素の状態では本当に似ていないです(笑)」
――西村さんは自身のありのままの姿をSNSで公表していますが、恥ずかしさはあったのでしょうか?
「メイクやウィッグを始める前までは、外出する時、生きている中で、基本的に恥ずかしさがありました。
◆接点のなかった層からの嬉しい声も、辛辣なコメントが「もっと面白くしてやろう」の原動力にも
――勇気づけられたコメントなどはありますか?
「発信していく中で、『自分と同じ悩みを持っている人が多い』ことを知り、やってよかったと思えるようになりました。主婦の方からもコメントを度々もらうのですが、性別も違うし、自分や友達の両親くらいしか接点がなかった方たちに、『産後やめていたメイクを久々にやってみようと思った』と言われることが多く、いつもすごくうれしい気持ちになります」
――逆に辛辣な言葉などは?
「なかには辛辣なコメントもありますが、鈍感な性格なのか、あまり気になりません。逆に、そした辛辣なコメントが『もっと面白くしてやろう』という原動力になっています。ただ、過度な誹謗中傷があまりなく、視聴者の方に恵まれているとも思います。
ですが、たまに『なんだこのハゲ(笑)』といったコメントをもらうこともあり、『お前もいつかハゲる日がくるぞ』と思いながら見ています。とはいえ、基本的に攻撃的なコメントは良くないです。実在の人間に送る言葉だと思わず、独り言のような感覚でコメントをしている人が多いのかなとも感じています。よく考えてからコメントを送ってほしいです」