青春ラブストーリーの王道をまっすぐに描いた映画『隣のステラ』(公開中)で初共演を果たした福本莉子と八木勇征(FANTASTICS)。今をときめく若手俳優としてスターへの道を走り出した昴(八木)と、その幼なじみの女子高生・千明(福本)の関係が、時に切なく、時にまぶしく描かれた本作の魅力を形づくった2人にインタビュー。
初共演の感想から役者としての印象、原作との向き合い方、そして“青春映画”というジャンルへの想い、作品を通して伝えたい「好き」という感情の力や、大人になった今だからこそ実感する“まっすぐさ”の大切さなど、真摯(しんし)に語ってくれた。
■初共演で感じたお互いの魅力とは?
――本作が初共演となりましたが、役者としてお互いの魅力をどう感じたのか、また共演を通して得た学びについて教えてください。
【八木】二人のシーンでは、松本花奈監督を交えて三人で話し合うことが多く、それぞれの意見を出し合いながら作り上げていく時間がとても貴重でした。そういった時間があったからこそ、シーンがより良いものになったと思いますし、そういうことができる相手で本当に良かったと感じています。何より、福本さんの声がとても魅力的なんです。特にモノローグが素晴らしくて、あの語りがあることで、自然に引き込まれ誰もが“千明”の気持ちになって作品を観てしまうと思います。
【福本】そう言っていただけてうれしいです。ありがとうございます。八木さんは本当にストイックな方だと現場で感じました。原作の世界観を意識しつつ、難しいせりふや場面を自然にリアルに落とし込んでいて、その姿に私も刺激を受けました。同じ熱量で作品を作っていける相手がそばにいるというのは、とても心強いことだと思いました。
■漫画実写化の難しさ──“寄せる”と“広げる”のバランス
――漫画原作を実写化する際、原作に「寄せる」メリットと、「寄せすぎる」リスクの両方があり、バランスが大事ですよね。
【八木】原作者の餡蜜先生が現場によく来てくださって、本当に感謝しています。僕たちの演技を見て、非常に喜んでくださる姿を見ると、僕も一人の読者として原作の魅力が損なわれないようにしたいという気持ちが強くなりました。見た目やせりふだけでなく、そのキャラクターの“本質”や“感情”にどれだけ寄り添えるかを意識して演じました。完成した映画を観たら、松本監督の演出によるノスタルジックで繊細な質感もあいまって、寄せながらも広がっているなと感じました。ティーンに限らず大人の方にも楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います。
――漫画原作の作品で高校生役も多いですが、千明をどのように演じましたか?
【福本】『隣のステラ』の千明は明るくて、面倒見のいい子なんですが、ただ尽くしているようには見せたくないという思いがありました。お母さんっぽくならないようにも意識しました。昴は“芸能人”、私は“一般人”と、自分を卑下したり自虐するせりふもあるのですが、それがあまりにも重すぎるとバランスが悪くなると感じていたので、表現にはとても気を使いました。口調も強めなので、言い回しによってはキツく聞こえてしまう恐れもあり、せりふ一つひとつに慎重に向き合いました。
――八木さんは、昴という役に共通点を多く感じたのではないですか?
【八木】そうですね。僕の場合は学校に通いながら芸能活動をしていたわけではないですが、仕事への取り組み方や、初めて芝居に挑戦することになった時の気持ちはとても共感できました。家で台本に向き合う時間なども、実際の自分と重なる部分がありました。
――昴の初出演ドラマ(劇中ドラマ)『ビター・スイート・ダーリン』の公式HPもあるんですよね。実写化ならではの作り込みがすごい!
【八木】『ビタ・スイ』の撮影シーンの撮影では、松本監督がドラマの撮影スタッフの動きも丁寧に演出していて、どこまでがリアルでどこからが演技なのか分からないほどでした。僕も昴として自然に『ビタ・スイ』に入り込めたと思います。
■“超・王道”青春ラブストーリーの醍醐味
――今回の映画は、まさに“超・王道”な青春ラブストーリーです。お二人にとって、こうした作品の醍醐味とは何でしょうか?
【福本】やっぱり「好き」に一直線なのがすごくいいなと思います。大人になると「好きだけど…」と考えてしまいがちですが、高校生くらいの頃って本当に「好き!」だけなんですよね。他のことが見えなくなるくらいまっすぐで。その純粋さは10代ならではだと思います。
【八木】大人になると、現実的なことをどうしても考えてしまいますよね。この映画は、学生の皆さんにはそのままの感情で楽しんでもらいたいし、僕たちと同世代や上の世代の方々にも、あの頃の気持ちを思い出してもらえたらうれしいです。
【福本】「会いたい!」って思って走って会いに行く、そういうシーンがあるのも青春ラブストーリーの良さだと思います。タクシーじゃなくて(笑)
【八木】タクシーだったら冷めるもんね(笑)
【福本】自転車でもなくて、“走る”。
【八木】“好き”の大きさは、“走る”かどうかで伝わる気がしますね。『隣のステラ』の“幼なじみが芸能人になってしまったら”という設定が夢物語のようにも見えるし、実は意外とリアルでもある。芸能活動じゃなくても、何かに一生懸命になっている幼なじみとか、地元の友だちに置き換えれば千明の昴を応援したい気持ちに共感できる。そういう視点でも、この作品の世界観を楽しんでもらえたらうれしいです。
■俳優としての現在地──トライ&エラーの毎日
――福本さんは、今年公開の出演映画が4本目。「成長したな」「アップデートできたな」と感じることはありますか?
【福本】毎日が本当にトライ&エラーです。うまくいく日もあれば、うまくいかない日もあって…。でも、その積み重ねの中で、常に自分のベスト以上を出せるよう努力しています。まだまだ課題も多いですが、役や自分自身としっかり向き合いながら、一歩ずつ前に進んでいきたいと思っています。
【八木】福本さんこそストイックです。
――八木さんは、俳優業についてどう考えていますか?
【八木】いろいろな作品に参加させていただくたびに、共演者やスタッフの方々から学べることがたくさんあります。
――アーティスト活動と俳優業、両方をやられていて楽しいと感じますか?
【八木】はい。「楽しい」という気持ちが一番大きいです。今回の作品では、主題歌をFANTASTICSが担当させていただき、俳優としてだけでなく、アーティストとしても関われたことが本当にうれしかったです。両方の立場から作品に携われるのは、自分にとって大きな魅力であり、今後も続けていきたいですね。
【福本】FANTASTICSさんの「いつも隣で」、本当に映画にぴったりでした!
■映画に込めた想い──“好き”を大切に生きること
――最後に、この映画に込めた思いや、観客に伝えたいことを教えてください。
【八木】子どもの頃に直感で「本当に好きだな」と思った人や物、ことって、大人になっても変わらず好きでいられるものだと思います。昴にとって“千明”はまさにそういう存在で、彼女に振り向いてほしいという思いが原動力になっています。だからこそ、「好き」という気持ちは隠さずに、大切にし続けてほしい。
【福本】私は、家族って“いて当たり前”だと思っていたんです。でも上京して一人暮らしをしてから、「当たり前じゃなかった」と実感しました。この作品を通して、大切な人に「ありがとう」や「ごめんね」と伝えることの大切さを改めて考えさせられました。時間はあっという間に過ぎていくので、一日一日を大事に、過ごしてほしいと思います。
初共演の感想から役者としての印象、原作との向き合い方、そして“青春映画”というジャンルへの想い、作品を通して伝えたい「好き」という感情の力や、大人になった今だからこそ実感する“まっすぐさ”の大切さなど、真摯(しんし)に語ってくれた。
■初共演で感じたお互いの魅力とは?
――本作が初共演となりましたが、役者としてお互いの魅力をどう感じたのか、また共演を通して得た学びについて教えてください。
【八木】二人のシーンでは、松本花奈監督を交えて三人で話し合うことが多く、それぞれの意見を出し合いながら作り上げていく時間がとても貴重でした。そういった時間があったからこそ、シーンがより良いものになったと思いますし、そういうことができる相手で本当に良かったと感じています。何より、福本さんの声がとても魅力的なんです。特にモノローグが素晴らしくて、あの語りがあることで、自然に引き込まれ誰もが“千明”の気持ちになって作品を観てしまうと思います。
【福本】そう言っていただけてうれしいです。ありがとうございます。八木さんは本当にストイックな方だと現場で感じました。原作の世界観を意識しつつ、難しいせりふや場面を自然にリアルに落とし込んでいて、その姿に私も刺激を受けました。同じ熱量で作品を作っていける相手がそばにいるというのは、とても心強いことだと思いました。
■漫画実写化の難しさ──“寄せる”と“広げる”のバランス
――漫画原作を実写化する際、原作に「寄せる」メリットと、「寄せすぎる」リスクの両方があり、バランスが大事ですよね。
【八木】原作者の餡蜜先生が現場によく来てくださって、本当に感謝しています。僕たちの演技を見て、非常に喜んでくださる姿を見ると、僕も一人の読者として原作の魅力が損なわれないようにしたいという気持ちが強くなりました。見た目やせりふだけでなく、そのキャラクターの“本質”や“感情”にどれだけ寄り添えるかを意識して演じました。完成した映画を観たら、松本監督の演出によるノスタルジックで繊細な質感もあいまって、寄せながらも広がっているなと感じました。ティーンに限らず大人の方にも楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います。
――漫画原作の作品で高校生役も多いですが、千明をどのように演じましたか?
【福本】『隣のステラ』の千明は明るくて、面倒見のいい子なんですが、ただ尽くしているようには見せたくないという思いがありました。お母さんっぽくならないようにも意識しました。昴は“芸能人”、私は“一般人”と、自分を卑下したり自虐するせりふもあるのですが、それがあまりにも重すぎるとバランスが悪くなると感じていたので、表現にはとても気を使いました。口調も強めなので、言い回しによってはキツく聞こえてしまう恐れもあり、せりふ一つひとつに慎重に向き合いました。
――八木さんは、昴という役に共通点を多く感じたのではないですか?
【八木】そうですね。僕の場合は学校に通いながら芸能活動をしていたわけではないですが、仕事への取り組み方や、初めて芝居に挑戦することになった時の気持ちはとても共感できました。家で台本に向き合う時間なども、実際の自分と重なる部分がありました。
――昴の初出演ドラマ(劇中ドラマ)『ビター・スイート・ダーリン』の公式HPもあるんですよね。実写化ならではの作り込みがすごい!
【八木】『ビタ・スイ』の撮影シーンの撮影では、松本監督がドラマの撮影スタッフの動きも丁寧に演出していて、どこまでがリアルでどこからが演技なのか分からないほどでした。僕も昴として自然に『ビタ・スイ』に入り込めたと思います。
■“超・王道”青春ラブストーリーの醍醐味
――今回の映画は、まさに“超・王道”な青春ラブストーリーです。お二人にとって、こうした作品の醍醐味とは何でしょうか?
【福本】やっぱり「好き」に一直線なのがすごくいいなと思います。大人になると「好きだけど…」と考えてしまいがちですが、高校生くらいの頃って本当に「好き!」だけなんですよね。他のことが見えなくなるくらいまっすぐで。その純粋さは10代ならではだと思います。
【八木】大人になると、現実的なことをどうしても考えてしまいますよね。この映画は、学生の皆さんにはそのままの感情で楽しんでもらいたいし、僕たちと同世代や上の世代の方々にも、あの頃の気持ちを思い出してもらえたらうれしいです。
【福本】「会いたい!」って思って走って会いに行く、そういうシーンがあるのも青春ラブストーリーの良さだと思います。タクシーじゃなくて(笑)
【八木】タクシーだったら冷めるもんね(笑)
【福本】自転車でもなくて、“走る”。
「好き」という気持ちがその原動力になって走れるんですよ。
【八木】“好き”の大きさは、“走る”かどうかで伝わる気がしますね。『隣のステラ』の“幼なじみが芸能人になってしまったら”という設定が夢物語のようにも見えるし、実は意外とリアルでもある。芸能活動じゃなくても、何かに一生懸命になっている幼なじみとか、地元の友だちに置き換えれば千明の昴を応援したい気持ちに共感できる。そういう視点でも、この作品の世界観を楽しんでもらえたらうれしいです。
■俳優としての現在地──トライ&エラーの毎日
――福本さんは、今年公開の出演映画が4本目。「成長したな」「アップデートできたな」と感じることはありますか?
【福本】毎日が本当にトライ&エラーです。うまくいく日もあれば、うまくいかない日もあって…。でも、その積み重ねの中で、常に自分のベスト以上を出せるよう努力しています。まだまだ課題も多いですが、役や自分自身としっかり向き合いながら、一歩ずつ前に進んでいきたいと思っています。
【八木】福本さんこそストイックです。
――八木さんは、俳優業についてどう考えていますか?
【八木】いろいろな作品に参加させていただくたびに、共演者やスタッフの方々から学べることがたくさんあります。
「この現場で過ごす時間の中で何を学べるか」「どう自分の武器にできるか」という意識を持つことが大切だと感じています。福本さんがおっしゃっていたとおり、僕もトライ&エラーを繰り返している日々。間違えてもそこから学べればいい。そうすることで、理想に少しずつ近づいていける、そう信じています。
――アーティスト活動と俳優業、両方をやられていて楽しいと感じますか?
【八木】はい。「楽しい」という気持ちが一番大きいです。今回の作品では、主題歌をFANTASTICSが担当させていただき、俳優としてだけでなく、アーティストとしても関われたことが本当にうれしかったです。両方の立場から作品に携われるのは、自分にとって大きな魅力であり、今後も続けていきたいですね。
【福本】FANTASTICSさんの「いつも隣で」、本当に映画にぴったりでした!
■映画に込めた想い──“好き”を大切に生きること
――最後に、この映画に込めた思いや、観客に伝えたいことを教えてください。
【八木】子どもの頃に直感で「本当に好きだな」と思った人や物、ことって、大人になっても変わらず好きでいられるものだと思います。昴にとって“千明”はまさにそういう存在で、彼女に振り向いてほしいという思いが原動力になっています。だからこそ、「好き」という気持ちは隠さずに、大切にし続けてほしい。
昔から変わらず好きでいられるものがある方は、それを大切にしてほしい、という思いを込めました。
【福本】私は、家族って“いて当たり前”だと思っていたんです。でも上京して一人暮らしをしてから、「当たり前じゃなかった」と実感しました。この作品を通して、大切な人に「ありがとう」や「ごめんね」と伝えることの大切さを改めて考えさせられました。時間はあっという間に過ぎていくので、一日一日を大事に、過ごしてほしいと思います。
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