フランスで初登場新作1位を獲得、2022年に日本でも公開しヒットしたフランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市<東京>を舞台に、人生の喜びを謳いあげる、感動のヒューマンドラマ。
予告映像では、木村演じるタクシー運転手・浩二が、倍賞演じるすみれをタクシーに乗せる場面から始まる。「お客さん、行き先は?」「お伝えしたと思うけど」と、最初はそっけない2人だったが、会話を重ねるうち次第に心を許し始めたすみれが「運転手さんの初恋はどんなだったの?お相手はどんな人?」と浩二に質問攻め。「覚えてませんよ、そんなの」と答える浩二に、「あらつまんない、照れてるのね!」と肩をパシッと叩くという、思わずクスッとしてしまうような楽しい掛け合いが映し出される。
そんなすみれの依頼は、神奈川・葉山にある高齢者施設まで送り届けてもらうことだが、東京の見納めにいくつか寄ってみたいところがあると浩二に伝える。思い出の地を巡りながら、彼女は自らの過去を語り、その壮絶な人生が明らかになっていく。
映像中盤には、若き日のすみれ(蒼井優)が、「二度とこんなことさせないから!」と泣きながら子どもを抱きしめる姿や、裁判所の証言台に毅然とした表情で立つ回想シーンも映し出される。果たして、かつてすみれに起こった出来事とは…。そして浩二の、「今生きているから、この景色を見ることができるんです。死ななくてよかったんだ、すみれさんは」という言葉に「そうね。あなたにも会えたんだものね」と返す。タクシー運転手と乗客という他人同士の関係からタクシーの旅を通じ深く心が通いあったように感じられる。
ラストに印象的に映し出されるのは、浩二がタクシーの中で涙するシーン。あふれ出す涙を拭う浩二の、さまざまな感情が入り混じった表情に、思わず心をつかまれ物語へ引き込まれてしまう予告となっている。浩二の涙の理由、そして旅の最後に待ち受ける“奇跡”とは。
併せて解禁となったメインビジュアルは、鮮やかな夕日を背に腕を組んで歩く、2人の穏やかな笑顔が印象的。会話を交わすうち思わず笑みがあふれた、楽しいひとときを切り取ったビジュアルとなっており、他人同士だった2人が旅を通し、いかに心を通わせ絆が生まれていったのか、その展開にも期待が高まる。
また追加キャストも解禁。若きの日のすみれが、ある事件で証言台に立つ際の裁判官を、今回山田監督作品に初出演となるマキタスポーツ、すみれが向かう高齢者施設のスタッフ役には『こんにちは、母さん』など山田組に多数出演している北山雅康、すみれの息子・勇役を現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で主人公・柳井嵩の幼少期を演じた木村優来、さらにすみれと浩二が食事をするレストランで居合わせた客役に、『学校III』以降山田組の常連で『キネマの神様』以来の出演となる小林稔侍が本作の脇を固め、物語に深みを与える。