永田琴監督による映画『愚か者の身分』(10月24日公開)が、韓国・釜山で開催される「第30回釜山国際映画祭」(9月17日~9月26日)のコンペティション部門に正式出品されることが決定した。

 釜山国際映画祭は、韓国・釜山市で毎年秋に行われるアジア最大級の映画祭。
1996年の創設以来、アジア映画の発展と新しい才能の発掘を目的に世界各国の作品を紹介し、国際的な注目を集めてきた。第30回の節目を迎える今年からは、これまでの非コンペ形式から、カンヌ、ベルリン、ベネチアに並ぶコンペティション形式へと歴史的な転換を果たす。

 コンペティション部門の全14作品から、グランプリ、監督賞、審査員特別賞、主演男優賞/女優賞、芸術的貢献賞をそれぞれ選んで表彰する。グランプリ受賞作は、映画祭のクロージング作品として上映される予定。

 『愚か者の身分』について映画祭側は「複雑な心理劇であり、若者たちの成長物語であり、暴力が現実の奥深くまで浸透した現代大都市を冷静に映し出す自画像」と評価している。

 釜山でワールドプレミアを迎えることになった永田監督は「この映画祭の土俵に上がることは、監督としての目標であり夢でした。このご縁と幸運に心から感謝いたします」とコメント。

 主演の北村匠海は「青春も悲劇も痛さも愛おしさも、すべて平等に詰まっている映画」と紹介し、「日本の片隅でひっそりと生き、誰からも目を向けられず、それでも『俺たちは確かにここに居るぞ』と小石を投げながら叫ぶ彼らの思いをぜひ観ていただきたい」と熱い思いを語っている。

 映画『愚か者の身分』は、西尾潤による同名小説を原作に、愛を知らずに育った3人の若者の運命と絆を描いたサスペンス。北村が身寄りのない男性を利用した戸籍売買で稼ぐタクヤを、綾野剛が裏社会の運び屋・梶谷を、林裕太がタクヤの弟分・マモルを演じる。そのほか、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏らも出演する。

■監督:永田琴のコメント(全文)

 釜山国際映画祭コンペティション部門選出の第一報を聞いた時、3人のメインキャストと一緒にいました。
だから冷静なフリをしていたんですが、しばらく言葉が出ませんでした。この映画祭の土俵に上がることは、監督として目標であり夢でした。信じられないという思いが正直なところで、翌日、やっとジワジワと喜びが湧いて来たほどです。

 これまであまり映画祭に縁のない映画制作をしてきた私にとって『愚か者の身分』は紛れもなく勝負作です。それをアジア最大の釜山国際映画祭でワールドプレミアとして上映できることは、本当に監督冥利に尽きます。しかも今年は30周年という記念すべき年。こんなに嬉しく光栄なことはありません。このご縁と幸運に心から感謝いたします。

■タクヤ役:北村匠海のコメント(全文)

 『愚か者の身分』を釜山国際映画祭のコンペティション部門に選出していただきました。大変うれしく思います。青春も悲劇も痛さも愛おしさも全て平等に詰まっている映画だと僕は感じています。日本の片隅でひっそりと生きていて、誰からも目を向けられず、それでも「俺たちは確かにここに居るぞ」と小石を投げながら叫ぶ彼らの思いをぜひ観ていただきたいです。

 心臓の鼓動を感じてください。
 僕らは確かに生きたんだ。それはきっと誰かが抱きしめてあげなければいけないと思うのです。
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