同ツアーは、今年2月にリリースされた最新曲「怪獣」を携えてスタート。Spotify Japanで初日再生数歴代最多を記録し、各音楽チャートを席巻した同曲のヒットを背景に、当初予定していた34公演が即日ソールドアウト。追加で発表されたKアリーナ横浜2Daysにも応募が殺到した。
ライブの総合演出は、「怪獣」「新宝島」などのミュージックビデオを手がけてきた映像ディレクター・田中裕介氏が担当した。メンバーの衣装・床・背面すべてを白で統一し、頭上にはメンバーが立つ床と同比率の巨大なLEDモニターを設置。モニターには“怪獣”をテーマにした映像が映し出され、ライブパフォーマンスと交錯するように物語が進行する。映像と音楽が融合し、あるいは拮抗する大胆な演出は観客の度肝を抜いた。
「enough」では、男の手がボーカル&ギターの山口一郎の叫びをリアルタイムで書き殴るという演出が施され、映像の狂気と音楽の緊張が最高潮に達した瞬間に「怪獣」が披露された。緊張感の中、バンドの一音一音に耳を傾ける観客の集中力は異常なまでで、演奏後には公演終了と錯覚するほどの大歓声と拍手が沸き起こった。
なお山口は、公演前にうつ状態の揺り戻しがあったことをSNSで明かしており、そうした背景を知ったファンにとってもこの日のステージは特別な意味を持つものとなった。
そこからは一転、「アルクアラウンド」「モス」「夜の踊り子」「アイデンティティ」「多分、風。」といったヒットナンバーを連続して披露。「アイデンティティ」では山口の「みんな歌える?」という煽りに応え、会場が大合唱に包まれる一体感が生まれた。
アンコールでは「ミュージック」に合わせてクラブ化した会場に、サカナクションのダンスミュージックが炸裂。最後の曲「ナイトフィッシングイズグッド」まで、約8ヶ月におよぶツアーの幕を熱狂の中で閉じた。
同ツアーは、サカナクションのパフォーマンスと緻密かつ斬新な映像表現を組み合わせた先鋭的な演出で構成。やむなく来場が叶わなかった多数のファンの声を受け、Kアリーナ横浜公演2Daysは生配信が実施された。初日となる26日は“体験版”として公演前半をオフィシャルYouTubeチャンネルにて無料で配信。ファンサイトとU-NEXTでは2日間の全編をリアルタイムで有料配信し、YouTubeの同時接続は10万人を突破。有料配信を含め、のべ15万人以上が視聴した。
この公演の模様は、8月30日午後6時から10日間限定でアーカイブ配信される。配信は、ファンクラブ『NF member』向けにはFanStream、一般向けにはU-NEXTにて実施。いずれもステレオ視聴環境に最適化されたイマーシブな音響で届けられる。
また、ツアー本編のセットリストをもとにしたプレイリストも各種ストリーミングサービスで公開中だ。