株式会社DLEと山陰中央テレビジョン放送は、島根ゆかりの作家・小泉八雲の怪談作品を原作としたAIショートアニメーション番組『小泉八雲のKWAIDANの世界』を共同制作し、10月2日より地上波で放送することを発表した。

 番組は、島根県松江市に居住し、日本の怪談文学に大きな足跡を残した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品を原作に、全編にAIを活用した制作手法を取り入れアニメーション化。

 オリジナルのキャラクターを自社で描き起こしした上で、同一のシナリオを一般的な2Dアニメ調で制作した「アニメルック版」とAIによるフォトリアルな表現で怪談の恐怖感を強調した「実写ルック版」の二つの異なるアプローチで制作した。

 それぞれ別の放送枠で同時期に展開するという革新的な施策を業界に先駆けて行い、視聴者は二つの異なる映像美で小泉八雲の幻想的な世界観を楽しむことができる画期的な取り組みになっている。

 監督は「秘密結社 鷹の爪」など独創的な映像作品で知られるFROGMANが務め、アニメーションはディー・エル・イーのOBETA AI STUDIOが制作。番組のナビゲーションキャラクターとして登場する「紺霞」(こんか)のデザインは、松江市出身の漫画家・いずみせら氏が担当し、声の出演には松江観光大使でもある茶風林、伊藤美紀などが参加する。

 TSK代表取締役 田部社長は「NHKで放送される朝ドラ『ばけばけ』がある中で、TSKでも何かやりたいという中から始まった企画。最初にアニメルック版と実写ルック版を見せて頂いた時にそれぞれの良さがあり、どちらも見て欲しいと思った。スピード感を持ってできた企画でもあり、これまではできなかったこと。AIを使うことで地方局でもこんなチャレンジができるのはあらたな扉が開いた印象だ」と強調。

 DLE代表取締役社長・監督FROGMAN(小野亮)は「小泉八雲は日本の文化を大切にし、物語を書いた。今の日本では薄れてきたと感じられる日本の文化をこの作品で感じてほしいという思いを込めて作っている。AIでは今まで簡単には作ることができなかった実写風など様々なルックを試すことができ、海外向けに多言語化なども容易にできる。こういった地方との取り組みも今後増えると思っているし、地方から世界に発信できるところを証明したい」と意気込み。

 「AIと怪談表現について」は「AIには魂が感じられず不気味と言われるが、ホラーや怪談にはそれが逆に向いているかもと感じた」と説明した。

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