room NB(ソニーミュージックグループ)と劇作家・演出家の藤沢文翁が立ち上げた音楽朗読劇ブランド『READING HIGH』。2017年の誕生以来、藤沢の書き下ろしによるオリジナル作品を上演し、その独創的な世界観で多くのファンを魅了してきた。朗読劇としては異例の規模となる東京ガーデンシアターで公演を行うなど、「まだ誰も体験したことのない音楽朗読劇」を掲げ、観客を楽しませ続けている。今年5月にはTHEATER MILANO-Zaで上演された『TAIL to TALE ~Story from 義経千本桜~』が大反響。7月に上演した、シンプルな美しさと究極の“黒”を追い求める姉妹プロジェクト【READING HIGH noir】も人気を博しており、こちらも大好評で幕を閉じた。
今作は、かつて栄華を極めた新選組のその後を、藤沢文翁が描いたオリジナル作品。明治9年、北海道五稜郭に“新選組の亡霊”が現れたとの噂が広がる。その調査を命じられたのは、新選組の生き残りであり、かつての同志を裏切り政府の犬となり下がった男・斎藤一。『もし本物だとして、どの面下げて、あいつらに会いにゆける?』――過去の栄光、忘れ難き仲間の存在…。新しい時代の幕が開いたはずの明治で悪夢に苛まれ続けているその男は、果たして幕末の因縁を断ち切ることができるのか?
出演は、斎藤一役に諏訪部、土方歳三役に中村、沖田総司と姉のみつ役を沢城、坂本直役を梅原、そして陸奥宗光役にはREADING HIGHシリーズ初出演となる東地と、豪華声優陣が集結。2015年の初演時(初演時タイトル:『The ONE』)は3人キャストでの上演だったが、今回は藤沢自ら脚本をさらにブラッシュアップし、10年の時を経て5人バージョンとして上演。より繊細で厚みのある物語へと進化する。
公演は、11月29日、30日に神奈川・相模女子大学グリーンホール(大ホール)にて上演される。チケットぴあオフィシャル先行(抽選)は、きょう12日午後6時~23日午後11時59分に受付される。
■キャスト・スタッフコメント
▼諏訪部順一 斎藤一 役
数ある藤沢朗読アーカイブの中から、10年以上眠ったままだった作品をREADING HIGHが蘇らせました! しかも単なる再演ではなく、作・演出の藤沢文翁氏が手ずからリニューアル。大幅にパワーアップした、まさに転生版とでも言うべき作品です。私は2015年に東京と大阪で上演された『The ONE』に引き続いての参加。今作でも斎藤一を演じさせていただくことになりました。朗読陣も3人から5人に増え、掛け合いの妙をより一層味わえるのではないかとワクワクしています。プロ声優たちの冴え渡る妙技を、ぜひ会場で、生で、お楽しみいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
▼中村悠一 土方歳三 役
この度、少し久しぶりの『READING HIGH』への参加となります、中村悠一です。藤沢朗読の真髄は、素晴らしいスタッフ陣による演出・音楽、そして台本にあります。今回は題材が“新選組”。
▼沢城みゆき 沖田総司/沖田みつ/太夫 役
沖田総司・沖田みつ・太夫の、3役で参加させていただくことになりました、沢城みゆきです。…久々に3人に再会できることを素直に嬉しいと思えた自分に、年月を感じました。あの頃は、役の前で足がすくむことばかりで必死になんとかしなければと過呼吸でやり抜くような…ひりひりした体感が残っていますが、今回はワクワクしながら彼/彼女達が見た景色に出会っていきたい気持ちでいっぱいです。…できるかな、やってみたいなぁ!
本番の頃にはもう今年も残すところ1ヶ月…なんて言いながらマフラーしている時期でしょうか。約10年前に観たよー!と言うあなたに劇場で再会できること、とっても楽しみに残暑過ごします。今回はじめて観るよー!のあなたには、なんかね私はもしかしたら、1番シンプルで、個人的に胸の真ん中に刺さる藤沢作品かもしれない、とお伝えさせてください。劇場でお会いできたらそれ以上のことはありません。心こめて。
▼梅原裕一郎 坂本直 役
READING HIGHに参加できること、嬉しく思います。先輩方がどのように役を演じるのか間近で感じられること、そしてどんな掛け合いができるのか、ワクワクしています。大変体力を使う公演になりそうなので、万全の体調で挑みたいと思います。新選組という誰もが知る題材を文翁さんが料理すると、このような物語になるのかと台本を楽しく読ませていただきました。まだ全てを掴めているわけではないのでこれから詰めていきたいと思っていますが、『READING HIGH』はみなさんと読み合わせすることで一気に世界を掴める感覚があるので、稽古がとても楽しみです。そしてなんといっても音楽と演出が素晴らしいので、負けないように全力で演じさせていただきます。
▼東地宏樹 陸奥宗光 役
この度、READING HIGH『ONE』にて陸奥宗光役で参加させてもらうことになりました、東地宏樹でございます。
藤沢文翁さんの作品には今まで2回ほど参加させてもらったことがありますが、他の朗読劇とは一味違う緊張感と観ているお客様が、作品世界に没入してしまう感覚をいただけた記憶がございます。またその感じを味わえること、そして素晴らしい音楽家の方々とのセッション。今から楽しみでしょうがありません。劇場で皆様にお会いできることを心から楽しみにしております。
▼原作・脚本・作詞・演出 藤沢文翁
~もう一つの桜の物語~
TAIL to TALEで盛大に桜を散らせたその後に、もう一つの桜の物語をご覧いただくことになります。
さて、日本人はどうして幕末が好きなのでしょう?ここから先は勝手な僕の解釈となるのですが、おそらく『侍』の時代が終わり『近代国家』が成立するその時代の刹那。何が正しいかも分からず、ただ若者がどうしようもなく敵と味方に分かれ、ぶつかり合ったそのエネルギーに惹かれるのではないでしょうか?
明治32年、新渡戸にとべ稲造いなぞうという男が『武士道』という書籍をアメリカで出版しました。当時、『野蛮』というイメージが先行していた武士の正しい姿を英語で記した貴重な資料です。それと一緒に、『武士はいなくなってしまうだろう』と予言しているのです。どんなに剣道を習っても、どんなに着物を着ても、僕らは二度と武士にはなれません。彼はそれを予言していました。しかし、悲観もしていませんでした。僕の意訳になってしまいますが、その本の最後にこんな事が書いてあります。
『時が経ち、慣習も消え、全てが葬られても、彼らの姿を象徴とした花(桜)のように、その生き様は我々の中に刻まれる。その香を嗅ぐたびに、子孫たちは遠い先祖の祈りをきくだろう』
同じ桜が散るのを見ても、それぞれ感じ方は異なるでしょう。もう一つの桜の物語・・・皆様の目にどのように焼きつくのか、答えは一つではありません。劇場でお待ちしております。