韓国・釜山で開催中の「第30回釜山国際映画祭」(26日まで)の〈オープンシネマ部門〉に出品された映画『盤上の向日葵』が18日、同映画祭最大規模のメイン会場「映画の殿堂」野外スクリーンでワールドプレミア上映された。約4500席が埋め尽くされ、上映前には主演の坂口健太郎、共演の渡辺謙、熊澤尚人監督が舞台あいさつに登壇。
満席の観客から大歓声を浴びた。

 坂口は「本当にたくさんの愛をくださってありがとうございます。うれしいです!」と流暢な韓国語であいさつし、渡辺も韓国語で「釜山に戻ってきました!」と力強く手を掲げ、会場はライブ会場さながらの熱気に包まれた。

 作品について熊澤監督は「とにかく坂口健太郎さんと渡辺謙さんの色気がすごいので、そこに注目してください」とアピール。これに、観客も「Whoo!」と歓声で応えた。

 坂口は自身の役について「翻ろうされながら、いろいろなことに巻き込まれながら、けどそれでもしぶとく生きていく男です。すごく悲しい、切ない瞬間もあるのですが、それも謙さんと一緒に丁寧に少しずつ作った作品です」と語った。渡辺は「僕は最後の方にちょっとしか出てません(笑)。でも、こんなにもいい加減で嫌な役は久しぶりで、めちゃくちゃ楽しんで演じました」と冗談交じりに振り返り、会場を沸かせた。

 柚月裕子による原作小説の魅力について熊澤監督は「とにかくこの二人が将棋に情熱をかけている。情熱をかけるものがあるというのが、生きていくうえで大切なんだとすごく感じた」と語った。

 渡辺は「男が命がけで何かをする、そういう映画だと僕は思っています。
なかなかそういう事ができる世の中になってはいないですけど、ある意味本当に血で血を洗うような、そういうことを将棋の世界でやろうとしてる連中の話です。胸を熱くさせてくれる」と強調。

 坂口も「将棋というひとつのアイテムの中で、そこで生まれる人間関係、男たちの生き様、その瞬間を生きた証みたいなものをこの映画の中で、この一瞬を覗き見していただけたら」と思いを込めた。

 舞台あいさつの最後には、監督が「映画の後半にこの二人が熱いバトルをするところがあります。これは必見だと思っています。坂口さん演じる主人公が、謙さん演じる真剣師を憎しみながらも、すごくリスペクトしながらひかれていくというお芝居が魅力的なので、ぜひ見てください」と呼びかけた。

 渡辺は「エンジョイ・ザ・ムービー」と英語で一言。坂口は「初めてですもんね!みなさんがこのワールドプレミアで観ていただける第一目撃者ということで、ちょっとドキドキしてるのですが、なにかこの映画がみなさんの心に残ったらたくさん宣伝をしていただいて、この映画がもっともっと大きく育つといいなと思います」と語った。

 上映後にはスタンディングオベーションが巻き起こり、坂口、渡辺、熊澤監督が両手を挙げて応えると、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。釜山の大観衆を魅了したワールドプレミアは、大盛況のうちに幕を閉じた。
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