――いよいよヒロアカがFINAL SEASONの放送を迎えます。大塚さんは1期から約9年間オール・フォー・ワン(AFO)の声を務められていますが、今のお気持ちはいかがですか?
大塚:9年と聞いて、1期の時はまだ50代半ばだったんだな、そんなに長い間やってきたんだな、そんな風に思う作品が最終章を迎えるというのは愛おしく思うところがあります。この最終章が全て終わってから、9年分、自分も含めて皆どのくらい成長しているのかなと、そういうことも楽しみにしながらイチから観返したいですね。
――神谷さんは、百数十話ある“ヒロアカ”のクライマックスから、さらに“ラスボス”的な立ち位置で出演となり、お気持ちとしてはいかがでしたか?
神谷:こういった出演の仕方は今までなかったですが、この経験をさせてもらっているのはすごくありがたいですね。とはいえ、本当に荷が重くて、最初は「どういうつもりなんだろう?」と(苦笑)。
大塚:AFOが若返るって聞いて、「声はどうするんだろう?」って思ってたんです。どんどん若くなると言うから。そうしたら神谷くんが演ると聞いて、すごく心強く思いました。安心してバトンを渡せると。
神谷:けど、出演にあたって原作を全て読んだので、それまでの展開は知ってはいましたが、AFOはヒーローだけじゃなく敵<ヴィラン>にまで責められたりしているじゃないですか。それまでは明夫さんがAFOを演っているわけで、自宅で台本をチェックしている時に「いや、これ俺じゃないんだけどな…」と思って寂しい背中をしていたりもしました(笑)。
大塚:ホントだよね(笑)。
神谷:「明夫さんなんだけどな…」って(笑)。現場でも、最初は緊張して、どうやったらいいだろうって悩んでしんどいところもありましたが、「きっと明夫さんが楽しく演っていたんだろうな、それを僕が受け継がなきゃいけない、僕も楽しまなきゃいけない」と、そういった精神性みたいなところは大事にしたいと思いました。
――オール・フォー・ワンはこの物語の“魔王”、生粋の“悪”です。これまでたくさんのキャラクターを演じてきたおふたりとして、こういった純粋な悪を演じる際は、他キャラクターの時と何か違いはあるのでしょうか?
大塚:僕はいわゆる“魔王”と名乗る役をあちこちで演っていまして…。
神谷:そうですよね。魔王はもう、明夫さん無双。どこ行ってもラスボスは明夫さん(笑)。
大塚:そんなことはないけど(笑)。やっぱり楽しむことじゃないでしょうか。演じることの根源が“楽しむ”ということだし、そのうえ“魔王”のような立ち位置って日常にないじゃないですか。「全部自分の好き勝手にやる」なんてことはないわけで、その楽しみ方ができるのは悪役ならではだと思いますね。
神谷:ひと言で悪役と言っても、完全無欠の悪い奴ってなかなかいないし、そういう役を演ろうにも僕としては難しいから、どこか隙を作ったり、少しでも愛される要素を作ったり、そういった面があった方が役としては面白いと僕は思っていて。
大塚:それが楽しいんだよね。
――そうすると、例えば三宅健太さん演じるオールマイトとの戦い、大塚さんなら3期、神谷さんなら7期の最終回とFINAL SEASONの序盤が楽しめるエピソードになりますね。
大塚:そう、煽って煽ってね。
神谷:AFOは絶対自分が負けると思ってないですから。
――いきなりオールマイトvs AFOの激闘から始まるFINAL SEASON。放送を控える中でファン・視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
神谷:長い歴史のある作品の最後の方にしか僕は関わらせていただいてないですけど、ヒロアカは日本だけじゃなく世界で愛されている作品ですから、そこに出演させていただいたこと、明夫さんが積み重ねてきた役の精神性を自分が引き継いで演じる、そんな役者としても素晴らしい機会をいただけたのは本当にありがたく思います。AFOとして、相手が嫌がることを好き勝手に考えながら、今までにない思考で作品に関われたのは本当に楽しかったです。
大塚:アニメヒロアカの最終章は、世界中の皆さんがきっと楽しんでくださると思います。そして、僕らも皆さんと一緒に出来上がった作品を楽しみたいと思いますので、最後までどうぞお楽しみに。