そろそろ猛暑も和らぎ、夏の疲れや寒暖差で体調が気になる季節。「熱はないのに咳が止まらない」「喉に違和感がある」「くしゃみ、鼻水があるけど風邪?」と、原因不明の症状に悩まされる人も多いのでは? 風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症も増える昨今、盲点になっているのが「秋の花粉症」かもしれない。
風邪や他感染症との見分け方や薬、治療について、クリニックフォア・総合内科の古田みのり先生に聞いた。

■気温差が大きくなる初秋、“風邪っぽい症状の花粉症”が目立つ

──暑さも落ち着いてくると、気になるのが体調の変化。「咳が止まらない」「鼻水が出る」「喉に違和感が…」など諸症状を訴える人がじわじわ増えてきていますが、疑うべき病気は?

 「9月~10月は季節の変わり目で気温差が大きく、空気が乾燥し始めることもあり、さまざまな感染症が流行しやすい時期です。この時期に見られる症状としては、ウイルス性上気道炎(風邪)、細菌性やウイルス性の咽頭炎、気管支炎、百日咳などがあります。また、再び流行り始めた新型コロナウイルスは、発熱がなくても咳や喉の違和感、だるさといった症状が多く、インフルエンザも例年より早く流行が始まっているようです。そして、同じ時期に重なるのが秋の花粉症。鼻づまりに加え、咳や喉の違和感という“風邪っぽい症状の花粉症”の患者さんが目立ちます」

――症状が似ているんですね。秋の花粉症とほかの感染症、見分け方はありますか?

 「花粉症は目のかゆみや涙目、サラサラとした透明な鼻水が特徴。症状は数週間以上続きやすいです。風邪は粘り気のある鼻水、全身のだるさを伴いやすく、多くは1週間程度で回復します。加えて秋花粉は咳が強く出る患者さんもいるので風邪と勘違いしやすいですが、症状が長引くなら花粉などのアレルギーや、他の疾患を疑って良よいと思います」

■花粉症なのに風邪薬を飲んでしまっても大丈夫?

――実は花粉症なのに、勘違いして風邪薬などを飲んでしまったら?

 「持病がない方においては、そこまでの問題はありません。ただ、風邪のお薬と花粉症のお薬は成分が異なりますので、症状によりますが基本的には効かないと思ったほうが良いでしょう」

――感染症なのか花粉症なのか、素人では判断に迷ってしまいそうですが、その場合は受診したほうがいいですか?

 「先述した鼻水の質や、症状が出ている期間、どのような症状があるかお聞かせいただければ、オンライン診療でもある程度の診断が可能です。
そこで花粉症の疑いがあれば、抗ヒスタミン薬や点鼻薬、目薬など適切な処方をします。どのアレルギーを持っているか、診断を受けたい場合は血液検査が必要となるため、対面受診が必要になります」

【監修】
古田みのり
群馬大学医学部を卒業後、臨床研修を経て群馬大学医学部附属病院脳神経内科に入局。神経変性疾患を中心とした診療・研究に従事。その後、プライマリケアに興味を持ち、現在はクリニックフォアで主に総合内科、皮膚科のプライマリケアを行っている。

(文:衣輪晋一)
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