上映前にはトークイベントが行われ、告知されていた俳優の仲野太賀、奥山監督に加え、サプライズゲストとして広瀬すずが登壇。満席の会場からは大きな歓声とどよめきが起こった。第1編と第5編の出演者がそろう貴重な機会となり、奥山監督も「この3人でトークイベントをするのは初めて。とてもうれしいです」と感慨を口にした。
奥山監督と旧知の仲である仲野と広瀬。奥山監督が「この企画、いつ公開されるのかの見通しも立ってなかったのに、よく出てくれましたよね」と問いかけると、広瀬は「それは奥山さんだから」と即答。奥山監督は大喜びで、観客に「聞きました?」と語りかけて、笑いを誘った。
仲野も「長い間、友人として奥山さんと接していて、いつか映画をつくりたいという想いは聞いていました。その奥山さんが映画を撮るとなれば、断る理由は無いし、素敵な作品になるだろうなという確信がありました」と当時を振り返った。
また、監督としての奥山の姿について仲野は「これまでは写真家の奥山さんと、友人としての奥山さんしか知らなかったけど、監督として演出している様子が、本当になんの違和感もなくて。一切不安を感じなかったです。すごく堂々と我々の芝居を引き出してくれて、導いてくれました」と評価。
広瀬も「やりたいことへの妥協をしない情熱があって。その熱量でしっかり伝えてくれるから、うれしい気持ちになるんです。この作品を作る前から知っている関係性があるというのも大きくて。普段の現場では信頼関係を作っていくことから始めるけど、今回はそれがある上で現場に入れました。現場に人が少ないから言葉で交わす数が多くて、そこの温度感もすごく優しくて。居心地がとても良かったです」と語った。
劇中では俳優の後方にカメラを据えて撮影を敢行。奥山監督は「役柄が見ている景色と俳優自身の景色を一致させたかった」と狙いを明かし、「表情が見えにくいからこそ想像できるものがある気がしていて。それを成立させることができる俳優は、なかなかいないと思います」と出演者を称賛。
広瀬は「お芝居をしたという感覚があまりなかった。きっとこの会話劇の温度感も含めて、自分に近かったんだと思います」と述懐。仲野も「生方美久さんの脚本が、僕たちに当て書きで書いてくださったということもあって、感情の流れをすごく丁寧に拾いあげてくれていました。
終始和やかな雰囲気で進んだトークイベントは、観客の笑顔と拍手に包まれながら幕を閉じた。