■『RIZIN.51』(28日/名古屋・IGアリーナ)
 全試合終了後の榊原信行CEOの総括会見で、王者が圧倒的な強さで防衛した2つの王座戦とその後展開、決勝進出者が決まったフライ級トーナメント、さらにお互いの存在意義を欠けてぶつかったワンマッチまで、試合の感想や今後の展望を語り、10周年を締めくくる今年の大みそか大会を「スタジアムモード(4万人規模)でいこうと思います」と明かした。

 フェザー級タイトルマッチは、挑戦者のビクター・コレスニックをわずか33秒で沈めた王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフが、強さの幻想をさらに高めた。ライト級も王者のホベルト・サトシ・ソウザが挑戦者の堀江圭功を開始100秒で首を絞めあげて、5度目の防衛に成功している。

 榊原CEOは「2人とも胸の張れる素晴らしい王者。前半は判定が多かった興行をしっかり締めてくれたんで、プロモーターとして本当にホッとしている」と絶大な信頼を寄せる。一方で、両階級とも挑戦者がもはや見つからない状況になりつつあり、「いっそのこと、2人がやったほうがいいんじゃないか」と王者対決を提案。

 ただ、フェザー級戦線では7月に前王者のクレベル・コイケに勝利した朝倉未来が「挑戦者になる可能性は十分にある。未来も7月に『シェイドゥラエフに勝てるのは自分しかいない』とか『大みそか、皆さんまた応援に来てください』という言葉を残しているので、本人の体調を含めて話し合っていきたい」と次期挑戦者の可能性を示唆した。

 フライ級トーナメントは、神龍誠を下した元谷友貴と、アリベク・ガジャマドフの勢いを“塩漬け”した扇久保博正が、大みそかの決勝に進出。榊原CEOは「比較する気はあまりないが、UFCのトップ戦線で戦うランカーやタイトルショットに絡む選手たちとも、引けを取らないレベル」と絶賛。30代後半のベテランが勝ち上がったことに「2人とも今が最盛期というくらいMMAは奥が深い。フィジカルの衰えを経験や技術などで凌駕できる競技なので、若い選手には本当に未来のあることだと思います」と称えた。

 フライ級トップの戦いが行われた一方、タイトル戦線には遠いものの冨澤大智と平本丈の試合も今大会では大きな注目を集めた。「本当に負けたくないという男の意地が見えた素晴らしい試合だった。丈が最後に打ち合う姿にも心を打たれたし、冨澤もリアネイキッドチョークで追い詰められたところからひっくり返した。若手がハングリーにやってくれることが、僕らの力というか血肉担っていると思いますし、若い選手たちがまた刺激を受けて挑んできてほしい」と高く評価した。

 同様に梅野源治と芦澤竜誠の試合も「トップレベルのMMAファイターから見たら全然ですけども、譲れないお互いのプライドというか、誇りをかけた凌ぎ合いというか、戦いを見る側からすると醍醐味あると思います」とRIZINの幅の広さを誇った。

 11月3日の神戸大会を経て、10周年を締めくくる大みそか大会が3ヶ月後に行われる。「10周年にふさわしい、みんなの記憶に残る祭りを大みそかに作りたいと思っています」とファンに約束した。

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