――「ばけばけ」へのご出演が決まったときの感想を教えてください。
「虎に翼」でもお父さん役をやらせてもらったので、最初に聞いた時は、本当にいいのかなと思いました。でも、今回「ばけばけ」の脚本を担当しているふじきみつ彦君は、ずっと一緒に演劇をしてきた仲で、それが何よりもうれしかったですね。ふじき君が朝ドラの脚本を担当することが決まった時は、本当にちまたは歓喜に沸いたんですよ。まさか自分も出られるとは思っていなかったんですけど、……いやちょっとは出るかもと思っていたかな(笑)。ずっと一緒にやってきたふじき君の朝ドラに出られることが、すごくうれしかったですね。
――演じられる松野司之介は、どんな役ですか?
娘への思いとのはざま、時代のはざまなど、常に「変化のはざま」の中にいる人だと思います。奥さんのフミさんのセリフにも、「父上はね、立ち尽くしちょるの」とあるのですが、時代に翻弄され、どちらにも行けないでいる司之介のことをよく表しているセリフだと思います。父である勘右衛門さんからは武士道をたたき込まれてきましたが、一方で、そうだと思えば行動できる人でもあります。特に、娘のためならまっしぐらなところがあり、この子を大事にするぞ、苦しくてもこの子のためならという親心があるのだと思います。
――トキ役の高石さんをはじめ、松野家の人たちの印象・エピソードを教えてください。
高石さんは、良い意味でベタベタもしてこない。でも、しゃべりかけに行っても普通にしゃべってくれるし、愛想もいいし、ずっと自然体でいる子やなぁという印象です。
――ここまで撮影していて、一番印象に残っているシーンはどこですか?
最初の「丑の刻参り」をしているシーンは面白いですよね。最初に撮影したシーンだったんですが、皆さんと演技するのもほとんど初めてだったし、頭から最後まで止めずに撮影するという緊張感もあったので、すごく覚えています。冷静に考えると、丑の刻参りをしているのも変なんですけど、それを真面目にやらないと面白くないので、本気でそう思っているところを演じようと思いました。また、司之介が新しい事業を始めるためにウサギをいっぱい買ってくるシーンがあるのですが、ウサギが可愛いから、ちょっと笑えるんですよね。でも、実はそれが借金の元凶になるので、笑えないんです。真面目に言えば言うほど面白いところは、ふじき君の本の書き方だと思いながらやらせてもらっています。
――ドラマの見どころ・視聴者の方へのメッセージをお願いします。
僕は、今回もお父さん役をやっていますけれど、「虎に翼」の直言さんとは人も違うし時代も違います。